静かな水に浮くガラス底のボート
A glass-bottinomed boat in stillwater.



双子座の世界の始まりのストーリーです。 サビアンにおける1度は、そのサインの性質を最もシンプルに、まっさらに、ストレートに表現します。
1は始まりであり、対象をまだ持ちません。対象を持たないということは比較しないし、何かとの対話もしないのです。
己の世界観だけが全てです。だからこそ、何の遠慮もなく、自らの性質を 発露しきるのです。
双子座の1度は、静かな水に浮くガラス底のボートという度数です。
このサビアンでは、海の中という未知なる世界をのぞき込んでいる様子が描かれています。 双子座は好奇心がどこまでも広がるサインですから、この最初の度数では、 その「未知」なるものである海、水の世界が登場します。
水の中には、見たこともない生物がいるかもしれないし、思わぬ危険もあるかもしれない。でも双子座は知りたい欲求が非常に強く、知的好奇心の塊ですので、 好奇心のままに、未知の世界をワクワクとのぞき込んでいる様子が描かれています。
しかし、見ている場所はボートの中であることが分かります。 牡牛座ですでに肉体を持っていますので、牡牛座の保守的な自己を守る世界については、すでに学んできているのです。
ですから双子座では、一気に素っ裸で海にダイブして、いくら好奇心があるからといって、未知なる世界に飛び込んでいったりはしないのです。
ボートの中、そして、静かな水という、安全地帯をまずは確保して、そこから 知的好奇心の世界へと繰り広げていくのです。
グルジェフは、人間の意識過程は三脳生物の過程を辿るとして、 虫、羊、人、としました。 ルディアは、別の言葉で、サビアンの6つのグループを、 意志(虫)、感情(羊)、知性(人)という風にストーリー分けしました。
ですから、サビアン5度区分ずつの6つのグループは、 意志、感情、知性、意志、感情、知性というこの過程を辿るというのです。
双子座では、牡牛座の自己を守る、という肉体的な保守性は育った後なのですが、知性の領域においては、子供のような状態から始まるのかもしれません。 知性とは、人間が持つ特有のもので、意志(本能)と感情(衝動性)のみで、 それに限りなく近い状態で生きている人間も多いものだと思います。
しかし、これは、動物的な生き方であると、霊的な教えではあちこちで説かれていることです。
羊からライオンへ、そして人(天使)の意識へ、という過程を辿るのです。 知性的な領域に目覚めて始めて、私たちは、人間となるのだと思います。
双子座1度では、どこまでも無限に広がる、双子座の知的好奇心の世界を 分かりやすく表しています。
知性を育てるのは、好奇心である、と言いたいのかもしれないし、 好奇心こそが、保守的な防衛心を突破していくものなのかもしれません。
牡牛座的な保守性と、双子座的な好奇心の世界とが、この度数では、 混在しているのが分かります。