読んでいる書類から秘密の知識を得る男
A man gaining secret knowledge from a paper he is reading.
サビアンにおける29度は、29は、11の2であり、9で割ったグループ分けにおける、第4グループの2番目の度数です。
11の2ですから、既に、次なる世界である、ここでは天秤座が流入してきて、
エネルギーが半々の状態で、拮抗しあっている場面です。
28度までで、乙女座の世界観が、統合されます。28は10の1ですから、
ゴールであり、スタートでもある、というお話をしました。
ここまでの流れで、26度の、香炉の少年のところと、27度の、高貴な貴婦人の度数で、ここは、精神の道に入った時に、初学者にありがちな、両側面であり、
拮抗する陰陽のようなエネルギーにお互いにある、というお話をしました。
どちらも、乙女座の、目に見える世界である、土の世界から脱し、
目に見えない世界へと開いて行こうとしているのですが、
26度の香炉の少年のところでは、体系に依存することで、どこか満足してしまっているところがあり、
27度の、高貴な貴婦人の所では、ふわふわとした夢想の中で、ただ、快楽を求めているだけで、精神の道を進んでいるという安堵を得ようとしています。
しかし、これは、どちらもまだ、乙女座的な、土の世界、目に見えるものだけを手掛かりにしている状態から、脱していないのです。
乙女座は、男の頭から、始まり、2度は、掲げられた十字架。というところから始まりました。
男の頭は、ロジックの世界であり、理性の世界であり、思考する世界の象徴です。
そして、十字架は、この社会のルールとか、常識とか、決まりごとに、自らを捧げていく在り方です。
ここから分かることは、乙女座は、この世界の、この物質界の、この社会のルールをより詳細に知り、分類し、整理します。
そして、それを、生きるために適材適所で上手に取り出し、使っていく才能があります。
しかし、十字架に捧げた頭ですから、既存の知識や、既にあるものを、
分類し、整理することは得意ですが、自分の頭で考え出すことや、無から有を生むこと、また、直感やインスピレーションで、決めることは、得意ではないのです。
なので、最終度数の局面に来ても、今もなお、既存の知識や、体系から、
魂の情報を得ようとしている状態が見て取れます。
しかし、28度の、禿げ頭の男、の所では、いよいよ、こうした、目に見える知識や情報、既存の体系や、何かから、必要な道具を得ようとすることから脱し、
全てを取り払った状態で、ただ、感じるままに、直感のままに、真実を見ることが出来る、分かることが出来る、というところまで来たのでした。
古代の時代では、理髪師は、医者と同様だったとも言われ、髪を切る仕事は聖なる仕事だった時代があったそうですが、
私たちの、クラウンチャクラはこの頭頂にあり、このチャクラが開くと、
私たちは宇宙の情報をダイレクトに受け取るようになると言われます。
7つあるうちのチャクラは、下方の三つは、この物質界に根を下ろし、活動し、
感情のろ過機にかけ、創造を行う為に使い、
ハートチャクラより上方のチャクラは、高次のエネルギーを探知する機能が備わっています。
5番目のチャクラである、スロートチャクラは、喉のチャクラですが、
歌ったり、自分の意志を演説したり、声や音や、言語を通して創造を行うことに関わるチャクラですが、このチャクラが覚醒すると、聴覚を通じて、高次の情報を受け取るようになると言われます。
実際に、重要なキーワードやフレーズが聴こえてきたり、といったこともそうですが、例えば、たまたまつけたテレビで、今知りたかったことが話されていたとか、
たまたま、カフェで隣り合わせた人たちが喋っていた内容が、今欲しかった必要な情報だった、とか、そういうシンクロなどもあります。
このチャクラが開くと、耳、高次の聴覚を使って、宇宙と繋がるようになり、
必要な情報を得るようになるのです。
これに対して、第6番目のチャクラである、サードアイチャクラは、第3の目にあるチャクラで、私たちの高次の視覚に関わります。
このチャクラが開くと、私たちは肉眼とは違う、視覚を持つようになり、
高次の情報を、視覚で捉えるようになります。
例えば、人の周りが光っているとか、その光に色がついていて動いている、とか、
が、視える、分かるようになったり、ただ、視えるだけでなく、その色彩や動きにある意味が、読み取れる、理解できるようになったり、
例えば、自然界や街並みの風景を見てその物質的な視覚情報から高次の情報を読み取ることもあるでしょう。
シュタイナーの十二感覚論では、乙女座は、視覚を司ります。
乙女座は、最初の男の頭から始まり、目に見えるこの物質世界を、
非常に細かい視野で、分類分けし、その輪郭や形状の違いを見分け、
整理する能力から始まります。
その物質的に非常に優れた視覚が、乙女座の細やかな気配りや、
事務処理能力の高さ、あらゆる仕事を完璧にこなす能力となって現れるわけですが、乙女座が極まるこの最終度数の側面では、
その細やかな物質的視覚が、最終的には、高次の視覚にまで発達するところまで来ているのではないかと、私は感じるのです。
28度の禿げ頭の男は、明らかにクラウンチャクラがぱっかん開いた様子を
言っているように感じます。あらゆる物質的情報や既存の知識体系を取り払い
つるっぱげの状態はまさに、宇宙とダイレクトになった状態を思わせます。
こうして、外側からの知識ではなく、内側と宇宙がダイレクトになった乙女座は、
この29度で、高次の視覚とか、チャネリング能力のようなものがついに開いたことが見て取れます。
乙女座29度は、読んでいる書物から秘密の知識を得る男。となっています。
書物。というのは、一見、物質的なものだし、既存の知識体系だし、手に触れられる、目に見えるものです。
なので、一見すると、26度の香炉の少年のように、既存の知識体系に依存する状態にまた舞い戻ったのではないかとも感じられるかもしれませんが、
そうではないのだと思います。
こうした、知的体系が書かれた書物とか、古い聖典や経典、などは、
読み手によって、全く違う書物になることがままあるからです。
特に、こうした形而上分野の書籍などは、暗号ロックでもかかっているかのように、
ある意識レベルまで成熟していないものがいくら読んでも読んでも、本来の意味を読み取ることは出来ないということが多々あります。
また、読むことすら出来ない、途中でどうしても眠くなってしまって数ページも読むことが出来ない、といったことまでおこったりします。
この乙女座29度の度数では、こうして、読んでいる書物から、従来とは全く違った情報を読み取るようになったり、また、ぱっと開いた書類や、書物から、
今必要な情報が、一文としていきなり目に飛び込んできたりという、
高次の視覚や、高次のチャネル能力のようなものを使い始めている度数なのだと思います。
だから、それは、崇高な経典や聖典である場合もあるし、
たまたま、手に取った、週刊誌である場合もある、それはなんだっていいのだと思います。
乙女座29度の反対側の度数である、魚座29度は、プリズム、という度数で、
7つの光線、また、私たちの7つのチャクラについて、触れられている度数ですが、
私たちは肉体の上位に、こうした高次のエネルギーシステムを具えており、
物質的肉体を超えた、資質が備わっています。
乙女座29度では、天秤座がすでに流入してきていますが、乙女座的、土の世界に、天秤座的風のエネルギーが流入し、乙女座はいよいよ、高次の視覚、高次のインスピレーションを手に入れていく段階に至っているのが、この度数なのだと思います。