ユダヤ人のラビ

A Jewish rabbi.

サビアンにおける20度は、5で割った6つのグループ分けにおいて、第4グループの最後の度数です。

ここで、16度から始まった、反対側の極性の作用を受け入れて大きく挫折し再起する物語が、完結を見ていくことになります。

16度で、反対側の陰陽のエネルギーが流入してきて大きく破壊が起こる、

17度で、16度で崩壊してまっさらになったところで、深く深層意識に潜ることで、高次の意識、目に見えないものに触れ、まったく新しい気づきが起こり始める

18度で、更に深く自分自身の深層意識に潜ることで、月の扉を探り当て、

自らの無意識の鉱脈に辿り着く

19度、それまでの有限で物質的な肉体だけの次元から飛翔し、ここからは月の扉を開けて、創造的な多次元な自己に出会って活動を始めていくスタートに立つ。

そういった数字のエネルギーの流れがあります。

そして、20度では、3を土台に置いた2となりますから、創造的で発展的な形での自己の内面との対話、世界との対話が始まるということなのです。

それまでの物質的な意識の過程では、何か知りたいことがあると、

外側から情報を探したり、外側から入ってくる情報に翻弄されたりしてきたのですが、20の場面では、内なる声に繋がり、自らの中から、欲しい回答や必要な情報を導き出すことが出来るようになります。

自らの内側の声に繋がるということは、宇宙意識にいよいよ繋がっていくということでもあります。

天秤座20度は、ユダヤ人のラビ、となっています。

ユダヤ人は、迫害の歴史で、選ばれし民族という意識が彼らにはあります。

旧約聖書の、出エジプト記から始まり、イスラエルの民は、モーセに率いられてエジプトを脱出し、何十年も砂漠を流浪する民族となります。

そして、モーセは、シナイ山で十戒を得るのです。

その後も、幾度も、土地を追われる歴史が繰り返されていきます。

ローマ時代には、パレスチナを追われることになり、

キリスト教が台頭しくると、ユダヤ教の指導者(ラビ)は、律法(トーラー)を守り、集会所(シナゴーク)に集い信仰を守った。

そして、7世紀になると、イスラム教が起こり、パレスチナを含む西アジアを瞬く間に支配するようになります。

このころは迫害を受けることなく、ユダヤ人は商取引などで活躍するようになっていきます。

中世に入ると、ユダヤ人迫害の歴史がまた始まります。

11世紀末、十字軍時代になると、キリスト教徒による、聖地エルサレムをイスラム教徒から奪回する遠征が盛んになります。この時に、ユダヤ人も討伐の対象になっていったのです。

また、キリスト教の「利子をとってはいけない」という教えから、ユダヤ人は当時、

低俗な仕事とされていた金融業についているものが多く、豊かになっていっていた背景があった。

こうした豊かなユダヤ人に対して、恨みを持つキリスト教徒が増えていった背景があります。

十字軍の争いのさなかでも、お金の知識に長けていたユダヤ人は、戦争で大儲けして資本家になっていきます。

14世紀のイギリスとフランスの百年戦争の最中に起こった黒死病の流行中も、ユダヤ人のせいだ、みたいな陰謀論が出回り、また迫害に合うことになっていく。

その後も迫害の歴史は繰り返されるが、18世紀のフランス革命で出された、人権宣言では、ユダヤ人の人権が、認められることになる。

国を持たないユダヤ人たちは、ヨーロッパ各地において、混在し、混血が続いたため、もはや、外見からはユダヤ人は人種、民族としては判断できなくなっていた。

ユダヤ人の概念はこのころにはかなり揺らいでおり、「自分がユダヤ人である」と自覚するかどうかによって決まるものとされた。

こうして、ユダヤ人の中には、ロスチャイルド家や、アインシュタイン、マルクスなど、様々な偉業を成し遂げる偉人たちがたくさん輩出されていきます。

ユダヤ人の教えには、タルムードがあり、知識と知恵を学び続けることが最も大切であり、お金は汚いものではなく、どのようにしたら稼げるか、などということも、

きちんと教えてくれている、現代の社会にも役立つ内容がたくさん盛り込まれているのです。

慈悲や慈愛を解いた、仏教やキリスト教と、違い、この世界の仕組みを理解し、その中でどうやったら、自己実現できるのか、よりよい社会を築けるのか、といったことを、研究し続けてきたユダヤ人は、賢者や成功者をたくさん輩出していくことになります。

世界のノーベル賞受賞者の20%以上がユダヤ人である、という事実があります。

それだけ、彼らは、自分の理想や夢を具現化する方法を小さいころから経典の教育によって、教えられており、そして、迫害の歴史から、通常の感覚の民衆とは全く違う感覚と視点で世界を見ている民族だということが分かります。

そして、その後、ご存じの通り、第一次世界大戦においては、ドイツ、ヒトラーにおいて、ユダヤ人の大量虐殺が行われます。

そして、第2次世界大戦後、パレスチナ問題において、ようやく、イスラエル建国となり、2000年前にローマ帝国に追われた、パレスチナの地を取り戻すことになるのです。

さて、このように、ざっと、ユダヤ人の迫害の歴史を見てきて、いかがでしょうか。

私たち日本人のように、紀元前から続く、母国を持ち、植民地になったことも、侵略されたこともなく、ずっと自分たちの土地で、日本人しかほぼいないところで、

自分は日本人ですと自信をもって言ってきた国に生まれ、生きてきた私たちからは、想像もつかない、試練に次ぐ試練の歴史であることが分かりますよね。

こうした歴史背景の中で生きてきた民とは、どのような意識を持つにいたるのか。

母国の国土も、文化も、何も持たず、地を追われ続け、ただ、ひたすら、律法(トーラー)の教えのもとに、集結する一つの民としての意識。

今では、地球の名だたるリーダーたちのほとんどがユダヤ人ではないか、というくらいの状況になっていると思います。

この、願望実現化力、具現化力、創造性、リーダーシップは一体、どこから来るのでしょうか。その強い意志、行動力、私たちたちの一般の感覚とは全く違うものがあるのではないでしょうか。

(あ、でもここでは詳しくは書きませんが、日本人だって、世界の中で、ものすごい偉業を成しとげた民族であることも事実です。)

どんな逆境にあっても、強い意志で目標を定め、日々、不屈の精神と、知恵ある教えをもとに、行動を続けていけば、いつのまにか、鉄の意志を持つにいたり、目標を成し遂げていくことが出来るということがこの度数では描かれているのではないでしょうか。

19度で、隠れている泥棒集団、という度数でしたが、ここでは、まだ社会では認められていない少数派の集団が、多数派から抹殺されないように、用意周到に賢く立ち回っている様子が描かれていました。

かつてのユダヤ人たちも、下民と言われ、あさましい人種と言われ、当時、汚い仕事と言われた金融業を、押し付けられていました。

しかし、こうして金融業で頑張って豊かになってくると、今度は清貧の誓いをしているキリスト教徒たちから迫害を受けるのです。

住んでいる土地を追われ、虐殺され、家族を奪われ、何度も何度も試練にあっても、だからこそ、その試練のごとに、目覚め、怠惰に過ごしている愚鈍な人たちには到底見えないものが、見えている。

天秤座のテーマとは世界と関わることで、自らの意思を世界を通して反映させること。なわけですが、ユダヤ人たちは、トーラーを通して繋がり、その世界とのやり取りの最たるものを実現した民族ではないかとすら思います。

天秤座の前半では、相手の気持ちをくみ取ることや、目線にあわせることで、世界との円滑なやり取りをしていこうとしますが、後半の物語では、まずは自分があって、そして、初めて、世界と純粋に円滑なやり取りができるようになり、

世界の中で自分の意思を反映させていくことができるようになることに気づくのです。

天秤座20度は、世界との創造的なやり取りのために、繰り返される逆境と試練の中で、自らの世界を創造するための、強い意志と行動力を持つにいたるのです。