互いに入れ替わる鷹と大きな鳩

An eagle and a large white dove turning one into the other.

サビアンにおける26度は、土台に3を置いた、8のエネルギーになります。

8は、物質性の完成形であり、ここでそれまでの流れが、何らかの形あるものになり、手に触れられる、はっきりとしたものになるという印象があります。

3を土台に置いていますから、そのサインの性質の、もっとも成熟した形での完成形を見るのがこの26度です。

形になる。という意味でいえば、26度はそのサインの最も実り多き収穫物を得る度数でもあります。

ここでサインの性質を味わい尽くす、五感で味わえるのはこれで最後、くらいの、

収穫祭を感じるのが26度です。

というのも、5度区分ずつのグループ分けでは、26度は、第6グループの始まりの度数で、第6グループは、そのサインの性質を終わらせて、次のサインの性質を受け入れる準備を始めていくようなサインです。

第6グループでは次のサイン、ここでは蠍座の性質が入ってきて、どんどん、蠍座のエネルギーと入り混じっていくわけです。

天秤座は風のサインで能動宮で、7番目のサインです。

風のサインは知性のサインであり、コミュニケーションのサインです。

そして、能動宮ですから、ロジックや知性によって、積極的に他者や世界と関り、

7のエネルギーである、公平さや、二極性を統合して前進する活発な推進力を持つサインテーマがあります。

これに対して、蠍座は水のサインで、不動宮で、8番目のサインです。

水のサインは情動的で、情緒的、直観的で、右脳的であり、

不動宮はこうした性質が固まり、深く集中し、潜り込んでいきます。

そして8は、形あるもの、集中力、強い意志、といったエネルギーを持ちます。

また8の数字は物質性の完成形で、物事が形になる性質であるのに対して、

8はエーテルのシンボルでもありますから、形になったものは同時に解体に入る、という自然界の法則が適応される場面でもあります。

ですから8は、形になると同時に、解体がはいり、別の次元へと存在形態を変えていくというエネルギーも持ち合わせます。

例えば、圧力鍋の中で、強い圧力をかけると、鍋の中に、エネルギーが集中し、でもその力はどこにも出ることが出来ませんから、鍋の中で最も強い作用となり、どんどん圧が込められていきます。

それでも、力は、どこにも拡散されることも放出されることもありませんから、

鍋の中で、圧を込め続けるしかありません。

こうなると、爆発するか、爆発できない場合はさらに深く強い集中力となり、

自然界の法則を超えたような力が出てきて、非常に強い集中力をもってしか成しえないようなことを成しえてしまう。そういうことが起こってくるわけです。

そう考えると、天秤座の性質とは、周囲に対して開かれた性質であり、周りに対して、積極的に広がっていく、拡散されていく性質なのに対して、

蠍座の性質とは、どんどん閉じていく性質であり、関わる人を限定し、少数の人ともしくは一人の(一つのこと)と、どこまでも深く関わり、集中していく性質になります。

蠍座26度は、互いに入れ替わる鷹と大きな白い鳩、となっています。

鷹は、蠍座の性質です。無意識の情動的な存在である蠍が、飛翔した意識のシンボルが鷹になります。

蠍の状態では無意識の感情パターンに閉じ込められた、まだ飛翔する前の無意識的存在を象徴する生き物なのですが、蠍座では、こうした動物的な状態を脱し、大きく飛翔していくというテーマがあります。

その成長した意識を獲得した状態が鷹で象徴化されているのです。

鷹は、空高く悠々と飛び、高いところから下界のすべてを大きく眺めることが出来ます。そして、獲物を見つけると真っ先に急降下し、狙った獲物を確実に捕らえることが出来ます。

そういった意味で、鷹は、強い意志力とか、抜け目のない賢さ、といったシンボルがあります。

これに対して、鳩は、愛情や平和のシンボルとして有名です。

また、白い鳩は、もっとも平和的なシンボルで、友愛的な動物としてシンボル化されています。

蠍座26度では、この鳩と鷹が、互いに入れ替わっているのですね。

ここでは、鷹が蠍座の象徴であり、鳩は天秤座の象徴になるのです。

他者との和を重んじ、相手や周りの空気を読み、機転を利かし、人間関係をバランスよく執り行い、世界と調和的に生きることが出来る天秤座の性質は鳩で表されます。

これに対して、天秤座的な俯瞰力、世界を大きく眺め、自然界の法則の全体像をとらえる視点を手に入れたことで、今度は次の天秤座では、その大きな俯瞰力や全体的な視点を生かして、自分の欲しいものを捕りに行く。という、鷹の意識へと移行していくのです。

天秤座的な鳩の意識では、世界と友愛的に生きることはできますが、エネルギーは拡散し、拡大していく性質にありますから、いまいち、集中力に欠けるといった性質もまた出てきます。

天秤座は、高い俯瞰力と、世界の法則を知る知性を獲得しましたが、ではそれを個人の人生に生かしていくということに関しては、テーマとしてはもっていないのだと思います。

例えば、分かりやすい例でいうと、いろんなことを知っていて、物知りではあるんだけど、博学すぎて、何にも生かせていない、むしろ何がやりたいのか、本人も分かっていないといったようなことってあると思います。

また、例えば、資格マニア、みたいな人がいると思いますが、100個も200個も、資格を持っているんだけど、それだけ資格を持っていても、一つの専門分野も持たないので、何にも生かせていない、というようなことも、言えると思います。

そこまで極端でなくても、世界に対して、開かれた人や、集団に対してよりよく関わることが出来る人でも、結局、自分の資質を見つけきれず、何がやりたいのか、

分からずに、分からないからこそ、エネルギーは拡散されたままで、一つもこれといった専門性を持たないから、欲しいものが一向に手に入らない、といったことってよくあるのではないでしょうか。

鷹の資質を手に入れる、ということは、全体を見渡す俯瞰力(天秤座的な視点)を持ちつつも、その全体像の中から、自分が必要とするものを見つける視点を持ち、それを見つけたら一気に急降下して、欲しいものを獲得するという、集中力を手に入れるということなのだと思います。

鳩の視点だけのままだと、例えば、興味のあることが出来て、数か月やってみても、また、別のお友達から、こんな楽しいことがあるよーと誘われればそっちにいってみて、あ、これもやりたいかも、ってまた、数か月やってみる。

そしたら、また別のお友達から誘われて、そっちに行ってみて、また楽しそうだからやってみよう、となる。

お金を稼ぎたい、と思っても、いろんな儲け話にふらふらと乗ってみたり、

すぐ気晴らしだとかご褒美だとか言って、誘われるがままに美食やお酒にふける日々・・・これだと、時間はいくらあっても足りません。

こういった柔軟性とか、周りに合わせて、自分も楽しめる性質って、とても大切ではありますが、そればかりでは、一向に、何がやりたいのか分からない、鷹の視点を手に入れることはできないのだと思います。

鷹の視点を手に入れた人、というのは、自分が集中したいものはこれ、という確固たる意志がありますから、それ以外のものが、たとえ入ってきたとしても、

今はこれに集中したいから、と、断ることが出来るのです。

このように、この度数では、鳩的な、友愛や、平和、といった周りに合わせ、世界の気運を読み取り、世界と円滑に関わっていく、視点と、

鷹的な、大きな俯瞰力を持ちつつも、あれもこれもに流されず、自分の欲しいものがしっかり見えていて、そのほしいものに集中していく意志の強さ、を獲得していく視点とが、必要に応じて、切り替わる、スイッチする状態の度数です。

鳩的な視点も、大事。

鷹的な視点も大事。

ここでは、天秤座的な資質と、次の蠍座的な資質が、入交じり、何度も必要に応じて、入れ替わっている状態が描かれているのです。