いきなり笑い出す少女の顔

A girl’s face breaking into a smile.

サビアンにおける16度は、1~15度までの前半のストーリーが終わり、

この度数から、後半のストーリーが始まります。

15度までで、前半のそのサインの純粋なテーマに、何の疑問もなく、

一直線に突き進んできて、エネルギー値がマックスに達した後の、

この16度では、大きく偏った陰陽の一方向の作用を修復するように、

一気に陰陽の反対側の作用が立ち上がってくる場面です。

陰陽の性質とは、二つで一つ、対になるエネルギーですから、

片方が、極まり切れば、反対側のエネルギーにスイッチが入る、これが

自然界の法則です。

ですから、サビアンでも、15度までで、そのサインの陽の作用にエネルギー値がマックスまで極まり、16度では反対側の陰の性質が流入してきます。

16度は反対側のサインである牡牛座のエネルギーが流入してきて、

今まで経験したことのない、学びに真正面からぶち当たり、大きく挫折していく度数です。

蠍座に流入してくる牡牛座のエネルギーとは、かつて、通過してきた牡牛座ではなく、サインとは、螺旋状に上昇してぐるぐると繰り返していますので

倍音のオクターブが一つ上の牡牛座がここでは流入してくることになります。

ここまでの蠍座の前半の物語は、人の心を掌握し、集団を支配することで、自らが集団の頂点に立つことがテーマでした。

力を持つことで、集団を牛耳る。そのことで、成功や権力が約束されるからです。

人間社会は弱肉強食の世界ですから、11度の溺れる男でみたような、

お涙誘って人の心を掴んだり、12度、舞踏会で見たような、お金やステイタスの匂いをにおわせて人をおびき寄せたり、もしくは、威圧したりして、

言うなりにしたり、あらゆる手練手管を学習してきたのが、蠍座前半の

学びでした。

こうして、競争と権力のフォースを最大限に手に入れ、15度では、

集団の頂点に立つまでになります。

フォースとは、外側から供給されるエネルギーであり、他人や集団からもらうエネルギーです。これには限りがあり、もっとエネルギーを奪う力がある存在が出てくれば、有限のエネルギーはそちら側に流れていくことになります。

外側から供給され、他者からもらうエネルギーであるフォースを供給源にすると、いつまでも、外側からのエネルギーをもらい続けるために、

他者や集団を、操作しなくてはならなくなり、また、競争し続けなくてはならなくなります。

またフォースは有限のエネルギーですので、枯渇してくるとまた、手練手管をして、エネルギーを外側から供給しなければならない、無限ループなのです。

しかし、これに対して、私たちは誰しもが内側に、無限のエネルギー源を持っています。これは例えて言うならば、原子力発電や、石油などを燃料とした動力は、常に資源を必要とし続けるのに対し(これは資源がなくなれば終了となるエネルギーです)

無限のエネルギー源から供給されるパワーは、いわば、フリーエネルギーであり、無くならないものですから、そこには競争も奪い合いもありません。

また、エネルギーを獲得し続けるために、他人を操作する必要もないのです。

蠍座16度では、いきなり笑い出す少女、となっています。

例えて言うなら、これまでの15度までの蠍座は、他人や集団を支配するために、ありとあらゆる手練手管を利用し、巧妙に他人や集団を操ってきて、はじめて力と権力を手に入れていくことで、相手や集団を思い通りに動かすことができました。

それは、相手の欲望とか、怖れとか、お涙とかをいろいろ刺激して相手の心を絶妙に操作するやり方でした。

これに対して、この度数で、笑い出す少女には、なんの計算も打算も、策略もないのです。

ただ、少女が微笑みかけるだけで、全ての人の心が和み、平和な気持ちになる、そういうことがあるのではないでしょうか。

なんの計算もない笑顔に私たちは、全てを信頼したり、

自分自身も元気や癒しをもらったりすることってあるのではないでしょうか。

そして、この少女は、変わりに何かを要求するわけでもないし、裏になにか策略があるわけでもない。

しかも、スマイルは0円ですから、少女にも周りの人間も、プライスレスで、幸せになれる。

こういった無限のエネルギー源を私たちは持っているのですよね。

他人を思い通りにしようと、巧妙な手練手管をすることも、時にビジネスや、そうした戦略の場では必要なこともあるでしょうし、そういうスキルを学ぶことも、大切なことだとは思います。

でも、そのフォースの手練手管のスキルですべてを思い通りにできるなどとは思ってはならない。

このスキルは、少女のあどけない笑顔には、勝れない、あっけなく、

こちらに軍配があがる、ということを、私たちは覚えておかなければならない。

まっすぐなもの。

これには、絶対に敵わないのです。

それを覚えておいた上で、蠍座15度までの、フォースの世界の学びを、必要に応じてしていくと良いと思うのです。

この度数から、牡牛座の、純粋な私たちの身体性や、五感のストレートな感覚、自然の感覚に沿って生きることのストーリーが始まるのです。