雪と一緒にないソリ
A sleigh without snow.


8という数字は、物質性の完成形であることをお話しました。

一つ前の7では、二元性のあちら側とこちら側を統合するために、 行ったり来たりと忙しく動くのです。こうしてあちら側かこちら側かと、 両方を動き、その落差を超越しようと必死に走るのが7の上昇であり、飛躍です。


7の動的なエネルギーのゴール地点のようなものが8なのです。

7では、いわばゴールのない世界といいますか、いわば、動くことが目的、 陰陽のバランスを取るために、走り続けることがテーマなのであって、 着地点は、8で見えてくることになります。

8は、あちら側とこちら側の陰陽のエネルギーを統合し、形骸化します。 形になったものは、すぐに解体に入るという自然界の法則がありますので、 8では、形が極まって空(エーテル)となる世界観も併せ持ちます。 般若心経でいう、色即是空、空即是色のそのままの世界のように感じます。

8は、形になったものを見ることが出来、触れることが出来ます。 ここまでの経過から、何が、どのように形を帯びたのか、をここに来て 見ることが出来るのです。

ですので、サビアンにおいても、8では、ここで、これまでの流れが形になり、 蓄積されます。 タロットカードの正義のカードでは天秤の真ん中をがしっと携えた人物が描かれていますが、本来ならば揺れ動き続けるのが、自然界の法則であるのに対して ここでは、その真ん中をがしっとつかみ、制御し、コントロールしています。

この蓄積は、一時的なものであり、永続的なものではないのですが(形のある世界ですので)8では、その凝縮された世界観を、圧縮し蓄積し、閉じ込めます。

そこでぎゅっと形になったものが、各サインのサビアン8度では描かれているはずです。 火の元素であれば、活性化されたイメージやインスピレーションが形になり、 風の元素であれば、言語や、コミュニケーションにおいて形になり 水の元素であれば、霊的なイメージや感情の世界が、 地の元素であれば、生活や、五感、経済の領域で安定化するでしょう。


牡牛座8度は、雪も降ってないのにソリが準備されています。

これは、先々大変になることを見越して、きちんと準備しておく、備えておく、ということを描いているのだと思います。


備えあれば憂いなし、という言葉がありますが、私たちは、先のことを心配して、いろいろと前もって準備しておく、用意しておく、貯めておく、ということをします。 これは、非常に牡牛座らしい感覚で8度では、その世界観がとても分かりやすく表現されていると思います。


7度のサマリアの女で、目に見える形ある落差、というものを嫌というほど目の当たりにしました。形ある世界では、こうした持てるものと、持たざる者という、優劣で全てが位置づけられているようなところがあります。


持たないものは、選択肢が狭まり、持たない者は死ぬかもしれない。 そんな世界観すらあります。 ですから、先々に起こりえるあらゆる危険を察知して事前に備えておく。ということが起こります。


雪も降ってないのに、もしかしたら降らないかもしれないのにソリがある。 それが、牡牛座の安定した世界感なのでしょう。

そのことで落差に振り回されなくなり、持っていることで、何かが起こった時に対応することが出来るし、安心して過ごせるのだということを描いています。

ここで描かれるのはあくまでも、目に見える世界で持つものが強者である、ということを学習しているのです。