神秘を明らかにしようとする老人
An old man attempting vainly to reveal the mysteries.


この度数では、5度区分の第3グループが始まっており、一つ前の15度で、牡牛座のストーリーは頂点を迎えました。 そして、この16度では、反対側の蠍座のエネルギーが流入してきて 陰陽の向こう側にある、反対側のストーリーと出会う度数です。

それまで牡牛座的な、物質至上主義、五感と肉体の世界が全てだった牡牛座の世界に、蠍座的な、目には見えないもの、神秘(ミステリー)という要素が、この度数では表れています。

老いた男は、この神秘(ミステリー)を明らかにしようと、必死に努力している様子が伺えます。

ここまでの15度までの牡牛座の世界では、そもそも目に見えないものは、対象にしていませんでした。目に見えるもの、五感に触れられるもの、形になったものだけが全てで、それを追い求め、追求してきたのが牡牛座前半のストーリーでした。

しかし、その物質至上主義的なエネルギーが15度で頂点を迎えることで、限界点を突破し、その向こう側にある、「物質を超えた世界」に開かれていくのです。

Old man という老人のキーワードが登場していることから、この男性は、物質至上うで長い間、生きてきたことに、疑問を感じ、嫌気がさし、人生が行き詰っているのかもしれないし、何か、空しさや、物足りなさを感じているのかもしれません。

今まで、ずっと手に入れ、所有し続けてきたものが、ここに来て、まったく意味を持たないもののようにすら見えているのかもしれません。
ここでは、すでに牡牛座的な物質の世界に対して、何の魅力も感じていない様子が描かれています。

そして、この度数では、目に見えない神秘の世界を必死で暴き、それを明らかにしようとしています。

vainlyという、キーワードが出てきていますが、これは、無駄に、とか空しいとか、いたずらに、といったような意味合いを持ちます。

この老人の努力は、どこか空しく、空虚なイメージを持たせるのです。

ルディアは、この度数を「伝統的なことを教えるのに失敗した老教師」としています。
伝統的なこと、とは、牡牛座的な世界観のことを指していると思われ、 それまで自分自身が、真実と思ってきた教えが実は、まったく真理ではなかったと、この年になってから、気が付き、愕然とする姿なのかもしれません。

また、そのことに気が付き、老いてから焦って、空周るかのように、神秘を必死になって追求し始める姿も、どこか空しさを感じさせます。

どのサインの16度でも、15度まで自信満々に邁進してきたそのサインのエネルギーマックス状態が、この16度で、反対側の価値感を受け取ることで、地底まで落っこちます。ついさっきまで、自分の世界が全て正しい、完璧だ、完成した!と思ってた途端に、16度で、奈落の底まで突き落とされる感じなのです。
だから、自信を無くすし、どこか、格好が悪いのです。


牡牛座16度でも、蠍座のエネルギーが一気に流入するこの度数では、そんな気恥しいような恰好の悪さ、空しさを感じさせます。

しかし、この一旦、思い切り落ち込んで縮みこむ、この破壊と修正の在り方こそが この後、2元を統合して、真に成熟した形でのそのサインの性質を育てていくための、とても大切な土台になって行くのです。