テーブルの前の二人の靴職人
Two cobblers working at the table.

29は、土台に4を置いた、2の数字です。29は11の過程を経て、2となりますので、対象との比較とか、自分から見た向こう側の世界への働きかけ、関わりあい、という風に見ることができます。

サビアンにおいて29度は、今いるサインと、これから入っていく次のサインとの対比が行われます。

28度で、そのサインの法則を完成し、新しい世界へのシフトを果たし、29度では、 次のサインのエネルギーが、完全に形あるものとして流入してきているのが見て取れます。 牡牛座の29度では、次のサインである、
双子座が流入しているのがよく分かります。

牡牛座的な古き伝統的な世界や、コツコツと努力を積み重ねて技術を磨いていく世界、また、古くから受け継がれた専門的な職人技術が生かされたものこそが価値があるものというような、頑なな物事の見方も牡牛座的であると思います。

こうした牡牛座的世界に対して、双子座の世界とは、新しい考え方や、自分以外の他者からの考え方をどんどん柔軟に受け入れていきます。 また、自分自身の考え方も、どんどん周りに話したり、コミュニケーションを広げていく在り方です。

また、牡牛座的は、洗練されていて、高度な技術が施された職人が作った高価な一点もの、なのに対して、双子座は、流行りに乗って、大量生産された、安くて、 カラフルで、質より量といった感じの品物だったりします。

こうした、牡牛座と双子座という全く相反する世界が、ここで始めて、半々の割合でしっかりと出会うような度数が29度なのではないでしょうか。
牡牛座29度は二人の靴職人として、2という数字が出てきています。

この二人の職人は、一人は古い伝統技術を受け継ぎ、それを地道に続けている職人です。そしてもう一人の職人は、新しい手法や流行りを取り入れたりすることが得意な今どきの職人かもしれません。

1人目の職人の方は、自分が作った靴は、メンテナンスさえすれば一生、履き続けられるという自信を持っていますので、顧客が、靴の修理を持ち込むと、また丁寧に直して、返し、いつまでも一足の靴を履き続けられるように修復するかもしれません。
また一生履き続けられる靴ですから、最高級の皮を使い、丁寧に、ものすごい手間暇をかけて作られた、珠玉の一足なのでしょうから、きっとお値段も、相当なはずです。

しかし、こうした在り方は、もしかすると現代向きではないのかもしれません。 今どきの人は、同じ靴を一生履き続けるなんて嫌だという人も多いでしょうし、 ずっと履けるからといって、そんなに高い値段を払いたくないという人も多いでしょう。

それよりも流行の靴を、毎年買い換えたい。古くなってよれて来たら捨てればいい。という感が方が現代風なのかもしれません。 同じデザインの靴なんてすぐに飽きてしまうし、格好悪い、と思うかもしれない。

二人目の職人の方はこうした現代のニーズを鋭くとらえていますから、 値段は最小限に下げて、品質よりも、デザイン性だとか、値段の安さを重視して、今どきの人たちに受け入れられるような商品を作るのではないでしょうか。

結果、その靴は、ワンシーズンも履けばよれてきてしまうようなものであったとしても、そこは問題ではないと考えるのかもしれません。

このようにして、この度数では、二人の職人を対比させてみることで、 牡牛座的世界観と、双子座的世界観の良いところ、悪いところが、すごく分かりやすく描かれているのではないでしょうか。

どちらが正しいわけでもないし、どちらが間違っているわけでもない。 きっと、どちらもの良いところを融合させれば、素晴らしいものが生まれるのかもしれないとも思います。

この二人の職人は、テーブルについて、一緒に仕事をしているのでしょうから、 お互いの専門性や、良いところを切磋琢磨、融合しあって、どちらかに偏りすぎない、良い商売を続けているのかもしれません。