歌っているプリマドンナ
A prima donna singing.


サビアンにおける5度区分ずつによるグループ分けでは、この21度から第5グループが始まります。

9で割ったグループにおいては3グループの3になります。


5グループの1番目の度数 3グループの3番目の度数
であるのが、21です。 どちらをとってもテンションが高そう、活発そうなイメージが湧きます。


第5グループは、そのサインの最も成熟した形が体現されます。 一つ前の4グループで、反対側のサインの陰陽の向こう側の性質を受け入れ 大きな挫折を体験した後の、成長をはかったて来たのですから、 その活発さ、とは、とても成熟した油の乗った状態なのです。



第5グループの成熟さとは、ちょっとやそっとの外的な作用では、いちいち揺らがない、ぐらつかない、そういうしっかりとした軸が育ってきているのだと思います。



その第5グループの始まりの数字が21度ですが、21度は、サビアンにおいて、 どのサインでもそのサインの最も成熟した形での、力強い挑戦。 そのサインらしさをやり切るための野望を、果敢につかみに行くような世界観が描かれている度数です。


21度の戦いとは、無鉄砲ではなく、行き当たりばったりでもない、それまでの経験があったうえでの、力強い挑戦なのです。


どのサインでも21度と22度は、拮抗する関係にあり、21度で、一気にそのサインらしさへ跳躍し、22度で、大きく内実に向かいます。


そして、21度と22度が統合されて、23度で、そのサインの実りを迎えていきます。


蟹座21度では、うたっているプリマドンナ。というキーワードで描かれています。


歌う、という行為、そしてそれをたくさんの人に聴かせるという行為は、 とても蟹座的だなぁと感じます。


音楽やメロディは、聴覚を通して私たちの心や情感に訴えかけるものだと思います。そして、それが、プリマドンナのような歌姫の美声を通して、奏でられたら、 その心に訴えかける作用は、倍増することは間違いありません。


歌や音楽というのは、私たちの聴覚という五感を通して、私たちの深いところに、 染み入ってきます。 シュタイナーの12感覚論では、聴覚は蟹座の担当するところで、私たちは聴覚を通して、天界のリズムと繋がるのだそうです。


ここではプリマドンナは、自身の歌声を通して、自分自身をめいいっぱいに 表現し、歌を聴いている人たちと、心を通じ合わせ、同じ時空を共有しています。


こうした、ロジックや、言語を超えた自己表現を通して、たくさんの人たちと心を通わせる・・こうした在り方は、蟹座が究極的に求めるものなのだと思います。


ここまでの流れを振り返ってみると、19度で、お母さんが社会に出て仕事をし、 働くことで、社会と関わり、金銭を得ようという試みが始まりました。

ここでは、自分の内的な気持ちや、素質、そして、大切な家族や子供たちを犠牲にしない、働き方、社会活動の仕方、ということを比喩的な表現として解説をしてきました。


そして、やっぱり、餅は餅屋というか、一番無理のない働き方を模索した結果、 実家の稼業を手伝うこと。に落ち着いた過程が描かれていました。

その、当たり前にあったもの、ありきたりの馴染み切った自分自身に立ち返ることで、派手さや、大きな躍進はないけれども、誰も犠牲にせず、充足した生活が送れるというところが、一つ前の度数で描かれていました。


そして、21度のこの度数では、やっぱりそうは言っても、もっともっと、自分というものをこの社会の中で、際立たせて行きたいし、自分らしい素質を通して社会と関わりたい、たくさんの人の役に立ちたい、という野望が出てくるのが21度の度数です。


実家の稼業を手伝いながら、じいじや、ばあばの手を借りながら子育てをすれば何の犠牲もないし、苦しみもないんだけど、それは蟹座が最も求める、 安定した暮らしや、家族との満ち足りた時間、自分の内面性を犠牲にしない生き方だったんだけど、 蟹座はそもそも感情と心の世界ですから、感情とか情動というのは、留まっていると、腐っていくものなのです。



心。というのは、常に躍動していて、感動していて、喜怒哀楽していないと、 停滞していってしまうものなのです。 安定と安心を誰よりも好みながら、一番、心の躍動を感じていたいのもまた、 蟹座なのです。


蟹座は、能動宮の水のサインです。 これは、動く水。という性質になりますが、これはまさに感情が動く、心が躍動するという、意味合いそのままになります。


蟹座は常に、感じていたい。感動していたい、心を震わせていたいのです。 そうでなければ生きている気がしない。


だから、もともとあった実家の稼業をついで、ほとんど、感動せず、自分らしさも出さず、毎日、安定した日々だけを送っていたのでは、やっぱり、 つまらなくなってきてしまう。


かといって、バリバリ、会社勤めしたり、起業したり、会社を興したりするような 立ち方も、ちょっと蟹座らしさからは外れてくるのかもしれません。 (もちろんこれはあくまで比喩的なお話ですので、蟹座の人が起業しないとか、 そういうことではありません)


そこで、選んだ職業が、歌を歌うこと。だったのかもしれません。


歌を歌って、お金になるの?って思うかもしれませんが、 蟹座らしさ、という観点において、お金になるか、ならないかは論点ではないのだと思います。


利益が出るか、出ないか、採算があうか合わないか、ということは蟹座の世界における、21度では、フォーカスされません。


ここでは、心が震えるかどうか。感情が躍動するかどうか、そして、それを通して、たくさんの人と共感し繋がりあえるかどうか。


ここが、最も大切なところなのです。


歌う、という行為は、自分の全てを出すことなのだと思います。 生きてきた人生が、そのまま声を通して現れて、それが、聴く人の心に届き、 感動を生む。


そして、そうした感動を共有する場面で関わる仲間たちとの、心と心のやり取りが、蟹座のテンションが最高潮になるこの度数では最も大切なことなのです。