An animal trainer

動物のトレーナー

サビアンにおいて、23度の度数は、21度の男性性と、22度の女性性の統合度数であり、この度数あたりで、そのサインの最も成熟した実りの時を迎えることになります。

21度は3のエネルギーが強い度数で、非常に活力のある跳躍力を持ち、そのサインの、可能性に最大限に挑んでいきます。

こうして、ジャンプしたその先に来る新たなステージへの着地点が、22度です。

そこは、新境地であると同時に、ステージを変え、変化した後に見えてくる、

景色であり、今度は、そのジャンプしたその場所が、通常の居場所になるのです。

23度は5のエネルギーを持ちますので、その成熟しきったステージで、

自らの資質を、最大限に表現して見せる場面です。

乙女座の21度は少女のバスケットボールチームとなっていました。

ここでは、周りの人たちと強調して、チームで目標を達成する世界観が描かれていました。

ここでは、個人の意見よりも、仲間の中での自分の役割を認識し、

周りから求められることを、していくことでもあるのです。

乙女座の16度以降、魚座の世界観が流入してきてから、自らのそれまで無意識だった、潜在意識の世界に触れはじめた乙女座は、目に見えている世界だけでなく、目に見えない世界、エネルギーや波動の世界、心や感情というものの

大切さを理解し始めました。

こうして、他者のなかにも、自分と同じように心があり、感情があることが分かった乙女座は、ロジックや、正論だけではない、心で他者と関わるようになっていったのでしたね。

そして、19度の水泳競技の所では、心の世界で他者と競ったり、

その感覚を感じたりしていた物語が描かれていました。

個人でありながら、他者を意識し、他者の心を感じ、深く関係性を探っていく、

そういう繊細な場面が19度の水泳競技の度数では描かれていたのです。

こうして、最初は、個人競技として、でも、レーンに並んで競い合う水星競技という形から、キャラバン車や、バスケットボールチームでは、他者とと共に協力し合い、共に目標に向かうというところへと、進んできました。

バスケットボールチームでは、周りから求められることやチームの中での自分の役割を全うすることが、最も大切なことです。

バスケットボールのような、スポーツで、自分勝手や個人プレイは、許されません。

周りとの連携、チーム一人一人の特性を理解し、それぞれの役割を果たす。

そのために、思いやり、協力し合う。

そういう場面です。

こうして、共に仲間と支えあい、協力し合った結果生まれたのが、22度の王家の紋章の度数です。

ここでは、絶対的な信頼のブランドや、安定感のある企業イメージが出来上がっているのです。

私たちの社会でも、あそこの会社の作るものなら安心だろう、と、ブランド名や企業名で商品を買うということがたくさんありますよね。

聞いたこともないようなメーカーの車と、トヨタやホンダのマークが入った車、どちらを買うでしょうか。

名もない個人が、いくら、僕の作った車は素晴らしいですから、買ってくださいと言っても、誰も買わないでしょうが、

有名メーカーの車であれば、絶対の信頼で、そのブランド名だけで、皆、ものを買いますよね。

乙女座21度から、22度までの流れはそういうことを言っているのだと思います。

社会の中で、成功し、重要な立場になるには、まず、結果を残すこと、

信頼を得る事、そのためには、個人の言い分や要求はとりあえず置いておいて、

周りと協力し合うこと、また、チームの中で必要な役割を果たすことが大切なのだと言うことを言っているのだと思います。

例えば、企業や会社などで、それぞれの仕事が決まっていると思いますが、

誰か一人でも、勝手なことをして突っ走ってしまったら、周りはすごく困るでしょうし、

またその一人の身勝手で、会社のイメージが傷ついてしまうことすらありますよね。

乙女座はとても現実的に、理論的にものを考えるサインですから、

言いたいことを言うためには、社会の中で格付けの上位にならなければならない、

また、重い立場を獲得し信頼を得なければいけない。

乙女座前半度数では、それを一人でのし上がる形で、周りと競って、他を討って

下剋上しようとしました。

でも、自分だけがのし上がろうとすると、他と争いになるものですし、

切っても切っても刺客やライバルや出現する者です。

そして、1人で出来ることといってもたかが知れているのだと気付いた乙女座は、

周りと協力し合うことを選びました。

乙女座は6番目のサインですから、周りとの調和、ハーモニーというテーマが

あります。

乙女座の周りとの調和は、究極的には奉仕なのですが、それだけではなく、

自分の身を守るため、この社会の中で、周りと協調しあい(喧嘩せず)

自分の要求や言い分を通すためでもあるのです。

よく今の世の中では、好きを仕事にするとか、自分らしく生きるという風潮がとても流行っています。

これまで、自分を犠牲にして、仕事やお金の為に、自分の気持ちや健康や、好きなことを無視し続けて来た反動が来ているので、必要な反作用ではあるのですが、

逆にそれが行き過ぎて、甘えや、自堕落に陥ってる場合も、多く見受けられます。

やらない理由、挑戦しない理由、出来ない理由、ばかり探して、チャレンジしないことや、失敗したくない、恥かきたくない、また、ちょっとでも失敗したら、もう駄目だと諦めてしまう。また、たいして実力もない新人が、自分の望み通りの仕事をさせてもらえないからと言って、むくれたり、人のせいにして、周りのせいにして、でも、好きやワクワクを求める幼さとして現れている・・

こうした在り方というのは、ある意味、恵まれた環境にあるからなのだと思うのです。

恥も何もかなぐり捨てて、「やらねばならない状況」になれば、人間は、

理想だのなんだのはとりあえずおいておいて、目先の生きるために、精一杯出来ることをやるものです。

だから、それが、あまり好きでない仕事だったとしても、周りと合わせて、求められることをこなし、上司の言うことを白いものも黒と言われれば従うことであったとしても、まずは、そこで、必死に食らいついて頑張る。

仕事をきっちりこなし、周りに合わせ、会社から求められることをしながら、

会社での成果や結果も残しながら、陰ながら、独立の準備をしたり、資格取得をしたり、お金を貯めたりと人生設計を組んでいく・・

こうして、十分に準備が出来たときに、やりたいことをやる、言いたいことを言う。

そのために、何年も何十年も努力をする。

結局、世の中は、言いたいことを言うことが先なのではなく、

自分が言いたいことを言うために、用意周到な準備が必要で、

そのためには、周りと合わせることも、我慢と忍耐を続けることも必要になってくる・・ということなのではないでしょうか。

22度の王家の紋章の所では、絶対的な信頼の揺るがないブランド力が出来上がり、こうなれば、やりたいことが出来る、言いたいことも主張できる、ということなのです。

ここに至るまでには、とても冷静で、論理的な、長年の努力があったということが分かります。

その場限りの情熱や、衝動だけでは、どうにもならないことなのです。

冷静から、更に冷徹とすら言えるくらいの頭と、たゆまぬ行動力とがかけ合わさって、こういう結果を成し得ることが出来るのではないでしょうか。

私たちは、日々の五感の快楽とか、毎日浮かんでは消える感情気分に大いに左右されて生きている生き物です。

これをしよう、と決めても、ほとんど、大体の場合続かなくて、

無意識のうちに日々の快楽とか、忙しさに溺れてしまって、忘れてしまうものです。

そして、時に、どうにもならないほどの、感情が湧き上がってきて、

人生を変えたくなったり、大逆転したくなったりする。

この感情自体は、必要なものだし、悪いものではないのです。

でも、その情動や、感情を、現実のものとするには、長い時間と努力と冷徹な

頭が必要になる。

22度までの王家の紋章を築くまでに、仕事をを成し遂げた人は、

自分の一時的な感情に左右される動物的な生き方を脱し、

自らの目的のために、周りと協調し、相手のニーズもくみ取り、思いやりを持ち、

ながら、結果を出すということをしてきた人物ですから、

そこに衝動性はないのです。

自らの衝動を、現実に昇華した人は、それは、教師になるのです。

23度のアニマルトレーナーの度数では、こうした偉業を成し遂げてきた人物が、

まだ衝動的で動物的な人を訓練している場面なのです。

ですから、狭義の意味では、成熟したプロが、部下や新人社員を教育するという能力にもなるでしょう。

しかし、この度数は、深い意味で、こうした、無意識でまだまだ衝動的な人たちを、

自律的で、目標の為に、冷静な頭で、賢く、立ち回れる成熟した人物に教育するというニュアンスがあるのです。

無意識に感情や五感で反応している人というのは、自分がその状態にあることに気が付いていません。気が付いていないから、無意識なのです。

感情で反応することは悪いことではありません。

逆に、自らの感情反応をなかったことにし、見なかったことにしてしまうことも、

無意識で稚拙さの現れです。

自らの感情反応を、しっかりと受け止め、認識しながら、その反応を現実のものとしていく為に、冷静な行動を続けることが出来る、というのが、

乙女座23度あたりまでで実現する、成熟した人物像なのではないでしょうか。