アートギャラリーにかけられた、3人の巨匠

Three old masters hanging in an art gallery.

9の数字はサビアンにおいて、一つ前の8度で、ここまでの流れが一つの形ある結果として現れ、そこで、手に触れたもの、目に見えたものを踏まえて、更なる過程に入っていこうとする流れが9度では始まります。

8度までの結果を踏まえて、偏りを修正したり、心と物質面のバランスをとったりするような場面も9度では出てきます。

天秤座8度では、荒廃した家の中で燃え盛る暖炉、となっていて、

自分の頭の中にある理想のイメージや目標を、努力によって叶え、

具現化した人物は、成功した者だけが見る、景色に、恐れおののき、

意気消沈してしまい、それ以上、進むのを諦めてしまっている場面が描かれていました。

それまで、見たこともない、広い世界に圧倒され、自分では到底、太刀打ちできそうもない、と、尻込みしてしまうのです。

また、手に入れた小さな成功を手放したくない、今、手の中にあるものを決して壊したくない、と、しがみついてしまって、新たな挑戦ができなくなっている状態も描かれていました。

しかし、8度では、誰もいなくなった家で、いまだ、暖炉が燃えていて、主人の帰りを待っているのです。

一度は、逃げて目を背けてしまった、夢や、情熱は、心の奥深いところでは消え去ることなく、いつでも主人の帰りを待っている・・

私たちは大人になり、分別が増えれば増えるほど、リスクを冒せなくなるし、

怖いものが増えてしまいます。

そして、今あるあまり満足していない現実にしがみつき、それを壊さないようにばかり縮こまって、生きてしまうものではないでしょうか。

でも、本当は、もっと、こんなことがしてみたい、こんな自分になってみたい、

こんな理想があって、それに向かって、頑張ってみたい、

これは、子供や若者だけではなく、本当は大人になればなるほど、

そうした、夢や理想というものが、よく見えてくるものなのではないでしょうか。

子供のうちや若いうちは、なんでも挑戦できるパワーと、若さがあるけれど、

自分というものが良くわかっていないので、夢や理想も描けない人が多いのかもしれません。

しかし、大人になればなるほど、自分というものがよく分かってくるほどに、

自分が本当は何を求めているのか、どうなりたくて、何をしたくないと思っているのかが、よく分かってくるものではないでしょうか。

それが明確になればなるほど、動機もはっきりしてくる。

動機が強ければ強いほど、意志の力が強まりますから、感情エネルギーが強く作用します。

8度では、一度、諦めてしまった、魂の情熱に、再び立ち返ろうとしている様子がイメージできます。

怖いものを知ること、自分が挑んでいこうとしている世界の広さ、大きさを見てしまったことによる、恐怖心、自信喪失、これは、自分に挑戦し続ける生き方をするうえで、避けては通れない、一つの必要な過程なのではないでしょうか。

何も知らなかったときは、お山の大将でいられた。

ちょっと成功したからといって有頂天になったり、驕り高ぶったりして、すぐに努力をやめてしまい、すぐに落ちぶれて行ったり、足元を救われてしまう人はたくさんいます。

でも、怖いものを知ったからこそ、そこからさらに先に進むには、その怖いと感じているものをまっすぐに向き合って、どのように対処していけばいいか、という対応策を考え始めます。

こうして、リスクをきちんと見極めて、できうる限りのリスクヘッジをしていく。

ただ、無鉄砲なだけでは、夢も理想もかなえられないことを、ちゃんと分かっているからこそ、堅実に歩みを進めることができるのです。

リスクヘッジをしているからこそ、時に思いっきりジャンプをすることもできるのです。

天秤座9度では、アートギャラリーにかけられた3人の巨匠、となっています。

巨匠というのは、その道のマスターであり、過去の偉人であることが分かります。

波乱万丈の人生を生き抜き、自分の魂というものを貫き通した人たちのことではないでしょうか。

歴史には古今東西、こうした偉人達というのが、たくさん存在します。

例えば、スピリチュアルを学んでいる私たちが、ルドルフ・シュタイナーや、

アリス・ベイリーや、グルジェフ、アレイスター・クロウリーや、仏陀やキリストなどの生涯を学ぶことを通して、魂の探求とは、スピリチュアルの探求とは、

どのようにしていくべきなのか、というヒントを彼らの生き方から得ることが、たくさんあるのではないでしょうか。

私たちは自分自身を生きようとするときに、そうした過去の偉人たちに学ぶことが

たくさんあるのだと思います。

例えば、ビジネスや投資の世界で成功したい人たちが、スティーブ・ジョブズや、孫正義、ウォーレン・バフェットや、ジョージ・ソロス、また、古い時代の、孫氏や、孔子、などの生き方を学んだりするように・・

私たちは道に迷うとき、またこの先の道をどのように歩めば、うまくいくのかを探るとき、過去の偉人たちに学ぶことが多々あるのではないでしょうか。

3人という人数が出てきていますが、天秤座の性質上、たくさんの例から、比較対象して、平均値を探りたい、という性質があると思います。

一人では、比較にならないし、二人だと、拮抗する違いを見出すことができても

全体的な平均値は見えてきません。

ですから、3人、もしくはそれ以上の比較対象が必要になるということなのではないでしょうか。

過去の偉人たちが、自分の理想や目標に歩むとき、挫折したときにどのように起き上がったのか、窮地の時に、どんなふうに乗り越えたのか、また成功したときに、現れる問題点や、問題となる出来事、人物とはどのようなものなのか、

過去に偉業を成した人たちはきっと、そうしたことを、数多く乗り越えてきているはずなのです。

挑戦する、ということは、弊害が生じる、困難が降りかかってくる、そういう確率が高まるものですよね。そして、その困難を乗り越えたものだけが、その先に進めるし、

困難から這い上がったときに、本当の強さと揺ぎ無さを得るのではないでしょうか。

だから、私たちはそういう人物に力を与えられるし、学びたいと思うものなのですよね。

一つ前の8度で、魂の家で主人の帰りを待って、燃え盛っている暖炉は、

その野望と情熱を果たすために、知恵を使って、先人に学び、知識を得て、

さらに比較対象し、自分の人生に適応させ、生かしていく。

そのことで、魂の家で燃え盛る情熱を、また、再燃させていくことができる・・

私たちは、困難に陥ったとき、行く先が見えず、迷ったとき、歴史に学び、偉人に学ぶことで、勇気をもらい、また、前に進むことができるのではないでしょうか。

私たちはそうした意味で、たくさんの偉人たちが生きた証、それが、文字となり、映像となり、無数に残されている社会に生きています。

それは、もしかしたら、とても恵まれていることなのかもしれませんね。

複雑な世の中でも、こうして、必死で生きて、亡くなっていった、先人たちから、

エールをもらうことができるのだから・・