引退した船長

A retired sea caption.

サビアンにおける17度は、16度で反対側のサインの正反対のエネルギーが流入してきて大きく挫折体験をしたところで、一度、大きく縮みこみ、今までの既成概念がすべて取り払われたところで、17度では、新たな資質や可能性が芽生え始めます。

私たちも、そうですよね。

何か大きく挫折を経験したときや、すごく自信を喪失するようなことがあったとき、

エネルギーが一度、縮小して、家に閉じこもって、誰とも会わずに落ち込みますよね。

そうして、うずくまって、落ち込んでいると、次第に、新たな道が見えてきたり、

それまでとは全く違う、新しい考え方や、気づきが出てきたりします。

17は、タロットカードだと星のカードの場面で、16度の塔で、大きく崩壊を経験したことで、17度では、物質的な鎧が取り払われ、とてもスピリチュアルで精神的な世界に触れていくことになります。

星のカードでは満点の夜空の星の下、裸の女性が、瓶から水を流している様子が描かれているカードです。

水は心を表し、星空は宇宙とか、魂を表します。

そして、私たちは感情を深く感じることを通して、魂や宇宙意識に繋がります。

日常生活の中で、どれだけ、物質的な知識を集めても、到達できない意識は、

感情の扉にその回路があります。

天秤座16度では、流された船着き場、という度数で、ここでは牡羊座のエネルギーが流入してきました。

周りの空気を読み、相手の気持ちを汲み取り、相手のニーズに常に耳を傾け、それを、受け取ったうえで、対処していくことで、世界と関わっていくというのが、当たり前だった天秤座の世界観に対して、

人の気持ちより自分の気持ちが大事、人がどう思うかより、自分がどう思うか、

周りの空気よりも、自分のフィーリングで動く、みたいなことが当たり前の、牡羊座の世界観が流入してくるわけですから、

16度では大いに、この牡羊座的な人に振り回されてしまって、

どこなのか分からない船着き場に、流され、疲れ切ってしまっている様子が描かれていたと思います。

こうして、16度で、大きく挫折を経験した天秤座は、17度では、見知らぬ港に流れ着いたまま、船を降り、船長を引退してしまいます。

自分で舵を取り、大海原(ここでは、大海原を世界になぞらえて)と、果敢にやりとりをし、波にうまく乗りながら、世界中を航海してきたはずなのに、

波に乗るのではなく、波に翻弄され、まったく自分が経験したことがない、波に圧倒され、舵を失い、航海図も無くし、まったく知らない港に、流されてしまったのです。

それまでの、船長としての経験は木っ端みじんに砕け散り、自信を喪失し、

船長自体をやめてしまうところまで、追い込まれています。

そして、流れ着いた見知らぬ土地で、何もわからず、自分の言葉も通用せず、

ただ、ひたすら誰とも会わず身を隠すように、一人、落ち込みまくってる様子が描かれています。

私たちも、人間関係に、大きく傷ついて立ち直れないようなときがありますよね。

そんな時、それまでの自分がすべて否定されたような気持になり、

自信を失い、すごく不安で、どうしたらいいのか分からなくなりますよね。

人生の舵を失い、どのようにこの先、生きていったらいいのかも分からず、

ただ、ひたすら、なぜ、うまくいかなかったのか、どうしてこうなってしまったのかと、過去の失敗をずっとぐるぐるぐるぐる反芻して、抜け道のない迷路のような状態になってしまう。

自分は今まで、周りにあわせることや、空気を読むこと、相手を思いやり、相手のために、尽くすことで、こそ、幸せになれると信じて、生きてきたのに、それをまったく無視して、好き勝手に生きている(ようにみえる)人が、なんだか、とても幸せそうにやっているのを、はじめて目の当たりにして、また、彼のような人物には、自分のやり方では、まったく太刀打ちできないことも思い知らされ、

結局、自信をまったく失い、生きる方向性を見失ってしまった。

とか、

または、自分勝手、身勝手、自分のことしか考えないで、自分の無意識と向き合うことなども、まったくせず、ただ人におぶさってきて、自分の人生の負債を他者に背負わせて自分は楽になろうとする、エネルギーバンパイアタイプ的な人もいます。

こうした人に一度、捕まってしまうと、どこまでもエネルギーを吸い取られてしまい、生命の危機にすら及びます。

ですから、エネルギー的なやり取りには、重々意識的にならなくてはならないし、こうした傍若無人なエネルギーを持っている人も、たくさんいますから、

なんとしても、エネルギーコードを断ち切らなくてはなりません。

下手に、相手の気持ちを分かってあげようとか、助けてあげようなどとしてしまうと、

大変なことになりますから、彼が彼の問題にきちんと向き合う機会を奪わず、

また、彼が彼の生きたい次元を生きる権利を尊重して、毅然として関係を断ち切られなければならない時もあります。

こうして、この度数では、いったん、それまでのやり方、生き方をすべて、否定され、自信を無くしている場面なのですが、だからこそ、頭を一度、まっさらにして、

新しい考え方、自分には、なかった生き方を、受け入れたり、気づいていくことが出来るという、場面が描かれていると思います。

ここでは、とにかく、ぐるぐると、同じことを繰り返し後悔したり、なかなか、自分なりの前向きな落としどころが見つけられない、苦しい状態が続くかもしれませんが、

そういう時は、そうした状態にあらがわず、十分にぐるぐるしたらいいし、悩んだらいいのだと思います。

こういう時は、無理に楽になろうとして、問題から目を逸らそうとしても、なかなか

難しいですし、ただ、傷ついている自分を労わって、悩み切るのが良いのかもしれません。

大きく心が傷ついたときは、体の調子も崩しやすくなりますので、普段よりも、

体のケアに気を使って、体調面を気にかけてあげると良いのだと思います。

また、失敗した自分を責めてしまうかもしれませんが、自分も一生懸命精いっぱいやったのだから、と労わってあげることも大切です。

天秤座の資質が強いと、どうしても自分が悪かったと、自分を責めがちになりますが、人間関係において、全て、こちら側が悪いということはあり得ません。

人間関係において、失敗が起こるときというのは、全ての原因は、自分が自分をちゃんと大切にできていないから起こるのです。

自分が自分をちゃんと愛し、大切にできていたら、人間関係の不具合というものは起こらないものだと思います。

人間関係は、自分を大切にできているか、ちゃんと愛することが出来ているかのレッスンなのだと思います。

そして、自分をちゃんと愛することができずして、相手を愛することも、大切にすることもできないのです。