手から餌をもらうアホウドリ
An Albatross feeding from the hand.
サビアンにおける10度は、5度区分ずつのグループ分けにおいての、第2グループの、最終度数です。また、9度ずつのグループ分けにおいては、ここで第1グループが終わり、ここから始まっていく。
10という数字は10の1ですから、ゴールであり、スタートであり、という数字のエネルギーを持ちます。
ここで、一つのテーマが完了し、一つの新たなテーマが始まるのです。
タロットカード、10番の運命の輪は、車輪の絵柄で描かれていて、
運命の終わりと始まり、また、螺旋のように続いていく、ステージ。
終わりと始まりは繋がっていて、前章までの結果がここで出て、そして、その結果を踏まえて、新たな運命が始まっていく。
そういう意味合いを持ちます。
山羊座のここまでのストーリーでは、与えられた環境の中で、その仕組みやルールに沿って生きることで、得られる、安住と安寧の幸せの境地を知る場面が描かれていました。
山羊座の6度以降の第2グループでは、この社会の中で、その枠組みの中で、その共同体の一部として、生きることを学んでいます。
いわゆる、社会の仕組みに逆らわずに生きる、社会適合者としての自分を
育成している場面なのです。
風の時代、そして、水瓶座時代に続く今は、
私らしく生きるとか、自由や個性を生きるといった、水瓶座色の強い
生き方の風潮が、台頭しつつありますが、
少し前の地の時代では、そんなふうに生きられる人は、ほんの一握りの人たちだけで、大概の人はそんなことを考えもしないし、
そういうことを考えたり、やり出したりする人は、大抵、うまくいかず、社会のはみ出し者になって、負け組として生きる場合が、これまでの社会では多かったのではないでしょうか。
だから、ほとんどの人は、自由だとか個性だとか、自分らしさ、とか言わないで、カゴの中で体制の仕組みの中で生きることに逆らわなかった。
そして、そういう生き方が当たり前の時代が長く続いたことで、そのことに疑問すら覚えなくなったし、それこそが幸せな生き方だ、と信じて疑わない人たちもまだまだ多いのではないでしょうか。
8度と、9度で、組織や、体制に逆らわず与えられた仕組みの中で生きること、そして、さらには、究極、自然界のリズムや宇宙の普遍的なルールにも逆らわず、あるがまま、流れるように生きることの幸せを謳歌していたのが9度の度数でした。
こうして、自我を出さずに自然体で生きることを達観した人は、10度で、今度は、自分の餌すらも、自分で取りに行かず、飼い主から、口を開けて
待っていればもらえる体勢まで、獲得していきます。
言うことさえ聞いていれば、生きていくための餌は、保障される。
そのことに、何の疑問も、反発心も抱かないのです。
それはある意味、純粋無垢で、従順な非常に好ましい扱いやすい人物像を想起させますから、この社会の中で生きるには、とても、順応性の高い、
性質。ということになります。
この社会に適合して、生きていくためには、この高い順応性、素直さ、
反発や反逆を起こさない飼い主に対する絶対的信頼と、忠誠。のようなものが必要なのかもしれません。
そうすれば、きちんと、ご飯は与えられるのです。
こうした、高い順応性は、誰に対しても、親しみを感じてもらえる、高いコミュニケーション能力として、活用することができるのではないでしょうか。
誰に対しても、オープンハートで、疑いの心もなく、心を開いている状態。
アホウドリにとっては、見ず知らずの人間の手から直接餌をもらうほどの至近距離に近づく、ということは、これは、野生動物であれば、絶対にあってはならないことですが、このアホウドリは、絶対信頼で、人間から、餌をもらっているのです。
そして、一度人間から餌をもらった動物はもう、野生には帰れませんから、一人で生きていくことはできません。
そうしたら、餌を与えている方も、自分がこの後も責任を持って面倒を見なければ、となるわけです。
こうして、異なる境遇の人たちにも、あけっぴろげの親しみやすさと、
信頼感を持って、心を開いていく姿が描かれていますので、
社会の中で、あらゆる人たちと関わって、上手に世渡りしていく、
社会適合者の資質が、すでにここでは形成されているのです。