危険な流れを抜け、安全な場所にたどり着いたカヌー
A canoe approaching safety through dangerous waters.
10度の度数は、サビアン5度区分ずつのグループ分けにおいて、第2グループの最後の度数です。
また9ずつ分けたグループ分けにおいては、第2グループの最初の度数でもあります。
10は、ゴールであり、スタートでもあるのです。
ある一つの場面のゴールを迎え、同時に次のステージが始まっていくということが
同時に起こっています。
そして、10のスタートとは、これまでの流れを汲んで、それに適応して運命のコースが始まっていくという2のエネルギーを土台として持っています。
天秤座では、6度から9度までの流れの中で、自分の頭の中にあるイメージを、
形にする、現実にするという挑戦が、ずっと行われてきました。
頭の中にあるイメージが現実になる。
目標としたこと、描いた理想が形になる、という経験は、
ある種、その人の人生を変えるほどのものなのだと思います。
私たちは大概、頭の中にぼんやりとした理想はあっても、
ほとんどの人がその理想に向かって行動を起こすことをしません。
1000人いたら、始める人は100人、
継続する人は10人というのを聞いたことがあります。
そして、理想を現実にする。といのは、継続なしでは成しえることは
ありません。
ですから、天秤座のここまでの流れでは、ある種の、成功体験を経験してきたことによって、それまでに見たことのないような世界を見てしまい、及び腰になり、
逃げてしまう場面も描かれていました。
しかし、やっぱり諦められない、やっぱり、理想を叶えたい、やっぱり、自分から逃げずに、挑戦し続けようと、学び、知識を蓄え、恐ろしいものに対してのリスクヘッジをとっていくようになりました。
何が怖いのか。を、ほとんどの人が認識していません。
それは、その怖いものと向き合うこと自体が怖いからです。
だから、何が怖いのかを認知する前に、耳を塞ぎ、目を閉じてしまう・・
何が怖いのかを考えることを放棄してしまう。
まさに思考停止の状態になってしまうのです。
しかし、自分の理想に挑戦し続けようと決めた人は、まずは、この「何が怖いのか」に、まっすぐ目を向けなければなりません。
そして、何が怖いのかを、認識出来たら、今度はその怖いものに対して、どのように対処していけばいいのか。を、模索し始めます。
よくアルコール依存症の治療は、まず本人が、自分が依存症であることを認めることから、と言われるのですが、それにちょっと似ているのかもしれません。
アルコール依存症であることを認めたら、そこからが本当に辛い、アルコール依存症の治療との戦いが始まるわけで、認めたからといってゴールでもないわけです。
依存症の治療は、生涯、アルコールを断ち切るという宣言であると同時に、
アルコールなしでは生きられない自分と深く深く向き合っていく人生が始まるのです。
認めたからと言って楽になれるわけではない、でも認めないと、あとは、全てが壊れ去り(大体、すでに壊れ去っている人が多いのですが)、死を待つしかない。。
それと、ちょっと似てるなぁと感じます。
自分が何を怖がっているのか。を認めることはとても勇気のいることです。
認めるだけでも相当な勇気のいることなのに、今度はその怖いものとまっすぐ
向き合い、対処していかないといけない。
自分を生きるって、そういうことなんじゃないかなぁって思います。
だから、一つ前の9度では、先人たちに学び、知識を得たり、リスクヘッジする方法を学んだりして、地盤を整えていったのでしたね。
こうして、つらくとも、奮闘した結果、10度では、船は危険な場所を抜け、
安全な流れの場所に、ようやく、辿り着いた場面として描かれています。
天秤座の6~10度までの第2グループでは、天秤座的な生き方の土台のようなものを、感情の深いところに落とし込んでいく作業が行われています。
天秤座は、風のサインですから、知識やロジックで、この世界と対応していく方法を学んでいるのです。感情論だけでは、生きていけないこの俗社会を、
知恵と、知識で、対応していこうとするのが風のサインの特徴です。
天秤座第2グループでは、たくさんの人たちがいるこの世界で、共通言語を持つ頭の繋がりとして、関係できる人たちとの親密な出会い、また、それ以外に、物質的な繋がりとして自分とは生き方や考え方も違う人たちとの出会い、
また、自分よりも、すごい人や、まったく違う考え方を持つ人たちとの出会い、などを、このグループではたくさん経験してきたのです。
そして、一度は、逃げたり、意気消沈したり、夢を諦めたり、自分を諦めるところまで、落ち込んでしまう。
でもやっぱり、知恵により、学ぶことにより、自らの歩むべき方向性を見出し、
やっぱり、自分を生きることを諦めずに、進んでみようというところまでの知恵を習得してくるわけです。
一つ前の9度では、たくさんの先人たちの生き方を学び、比較検討し、
自らの人生に生かすことを学びました。歴史を学び、先人たちの失敗や挫折をどのように乗り越えたのかを学ぶことは、生きるうえで、大きなヒントになるものだと思います。
こうして、奮闘し、自らの道を切り開き、イメージを形にし、結果を残してきた人たちは、この度数で、一つの、安寧の地に到達します。
人間が、成長するときに、通る、危険な過程を、乗り越えて、その暁にくる、
安全な場所にたどり着いた境地として描かれています。
危険な道のりを知恵によって通り抜けてきた人たちは、今度はその自らのたどってきた道を、航海図として、描き、次に続く人たちに、道案内をすることができます。
これは、9度で、マスターたちの生き方に学んだように、今度は自分が先生になり、
マスターとして、後に続く人たちの役に立つことができるのです。
天秤座は、知恵によって、この社会を、そして、人生を、切り開いていくことを象徴します。この世界との関りは、たくさんの人たちとの関りの中で、自らの意思を
遂行していくこと、逆境や、意見の違う人たちがたくさんある中で、
どうやって、切り開いていくのかを思考錯誤するのです。
世界との関りのエキスパートでなければ、どれだけアイデアがあっても、
形になることはありません。
世界との関りとは、他者との関りであり、社会との関りであり、
自らの肉体との関りでもあります。
世界と関わるということは、自らの意識と相対するものと、どのようにかかわっていったらよいのかの、知恵なのです。