救助される溺れた男
A drowning man rescued.
サビアンにおける11度は、11~15度までの、第3グループの始まりの度数でもあります。
また、10から始まる第2グループの2番目の数字でもあります。
5度区分の第3グループは、5~10度までで育ててきたそのサインを味わい切り、使いこなすための「体験」を生かして、どこまで高みに到達できるか、
ジャンプしていくステージです。
第2グループまででは、深く自分の資質に潜り、感情の最も深いところまで沈み込み、向き合ってきた経緯があります。
こうして一つの、専門スキルを身に着け、精神的に自律していったもの同士が結びつく、親睦夕食会が描かれていたのが一つ前の蠍座10度の度数でしたね。
この夕食会では、自分の限界に挑戦し、一つのスキルを身に着け、そのスキルをもってこの社会の中で、生きていこうとする自立した人物同士が結びつく場面でした。
自立したもの同士にしか分からない体験があるし、
こうした体験を乗り越えて来たもの同士にしか理解できない世界がある。
蠍座10度ではそういうステージにすでに立っているのだと思います。
第2グループは、蠍座6度のゴールドラッシュから始まったステージでした。
蠍座はこのステージで、この社会の中で生きる上で、どうにもならない壁、
困難を突破するために、究極的な野心を抱き、それに命がけで挑んだ経過が描かれていたと思います。
それは、蠍座的な、強い感情のパワーを必要とする作業でした。
それを、10度まででやってのけたわけです。
描いたイメージを、形にする。そして、一人の職人として、自律的な道を歩み始め、そうしたもの同士しか集まることのできない親睦会に参加しています。
こうして、11度からのこの第3ステージでは、蠍座は更なる野心を抱いていくのです。
どうせ行くなら、この社会の中で頂点を目指そう、誰よりも成功してやろう、というものです。
蠍座第3ステージでは、社会の高みへと成功していくために、人間の心というものを絶妙に取り扱っていく学びが描かれています。
職人が単に、日々淡々と、職人的な仕事を繰り返していたのでは、
高みへも成功の道への行けないのです。
蠍座11度では救助された溺れた男、となっていて、溺れそうな自分を、
助けてもらう構図、もしくは溺れそうな誰かを助ける構図、が
描かれています。
これは、自分の弱いところを見せることで、助けを求める場面です。
私たちは、誰かと親密に結びついたり、心と心を通わせるために、
例えば、いつも成功してる人、いつも強い人、いつも感情コントロールが出来ていて完璧な人、よりも、
普段はしっかりしている人が、泣いているとき、
普段は、頭のいい冷静な人が、てんぱっておかしくなってるとき、
普段はお金持ちの成功者が、脱落して、浮浪者に転落したとき、
そういう時に、その人に親近感を覚え、共感し、手を差し伸べたくなるものなのではないでしょうか。
蠍座第3ステージでは、人の心を掌握して、高みへ昇ること。が
テーマになりますから、11という蠍座のエネルギーが、パワフルに働きかけるこの度数では、「あえての究極の弱み」をさらして、他者と深く繋がろうとする場面なのです。
例えば、私たちの世の中では、弱みにつけこむ。とか、つけこまれる。といったこともよく起こりますよね。
例えば、病んでいるときや、ちょっと、普通の思考が出来なくなっているようなときに、高額商品をあっさり買わされてしまったり、
宗教や政治団体の勧誘にあっさりはまってしまったりすることってあると思います。
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こういったことも全部、人の弱さにつけこむ(言葉は悪いですが)商法であり、私たちの社会はそうしたものに溢れています。
これは程度の差がありますので、行き過ぎはよくありませんが、全てが悪いということではないのですね。
先にお話ししたように、その人の弱さを見ることで好きになる、
好感が持てる、自分と同じなんだと共感できる、何故だか助けたくなる、応援したくなる、ということがあるのだと思います。
蠍座11度では、自分の欲求を果たすために、意図的に、もしくは、
無意識的にも、そうした場面を作り出していると言えます。
本当に溺れそうな場合もあるでしょうし、ある種、意図的に、自分の弱みや、恥をさらす、ということをして、ファンを獲得するインフルエンサーなどもいますよね。
私たちの世界ではこのようにして、弱さで繋がる、弱みを見せることで感情を揺さぶられるということが確かにあるのです。
蠍座では、人間関係、そして、人の心を掌握していくことで、社会的成功の高みへと昇っていきますから、この度数では、あえてそのようにして、
深く他者の心を掴んでいくストーリーの始まりなのだと思います。