家系図
A family tree.
サビアンにおける14度は、次の15度で、サインの前半のストーリーが完結しますので、その非常に強いエネルギーを持つ15度に持っていくために、14度では最後の総仕上げのような形をとるのだと思います。
14は、数字の5のエネルギーを持ちます。14は2を土台においた5ですので、
5の挑戦、表現力、拡散力などが、2のエネルギーを持ちますので、内側に向きます。
14は、内側に向かって、表現し、創造するのです。
それは、外側の評価や採点を気にするのではなく、あくまで自分自身の目的を
達するために、人知れず、誰にも知られなくても、認められなくても、
自分がこうと決めたことを、ひたすらに行い続けるのです。
14はタロットカードでは、節制のカードになります。
節制は、内側に向かう、表現力であり、創造性ですので、エネルギーの無駄漏れがないのです。
他者からの評価とか、周りからの声はここでは、関係ありません。
あくまで、自分自身の目的の為に、必要な行為を行っているのです。
何か、目標を達成しようとしたときに、周りからの評価がどうか、ということを気にしていたのでは一向に、計画が前に進まないということがあるのではないでしょうか。
自分自身の意図と、周りの評価は、異なるところにあるものですから、
ある一つの目標や、集中したい事柄がある時は、周りの声を一旦、シャットアウトして集中しなければならないときもあるのだと思います。
サビアンの15度では、次の度数で、前半のストーリーを総仕上げしていかなければなりませんので、ここでは、自分自身に一点集中していく必要がある場面なのだと思います。
乙女座14度では、家系図というキーワードが出てきます。
ここでは、親族とか、一族のようなイメージが浮かび上がります。
ここまでの乙女座の物語を少し振り返ってみたいと思います。
8度、9度で、それまでいた虚構の牢獄から飛び出し、自分自身の個性と、
意志の力によって、自立して生きて行こうと決めた過程がありました。
体制に巻かれて生きていれば、とりあえず目先の安全はあったかかもしれませんが、そこにこれから先もずっといることは出来ないし、もし、そうしてしまえば、
自分自身がいずれ、腐り切って、己が亡くなってしまうことも分かっていた、
だからこそ、怖くても一歩踏み出した過程がありました。
しかし、10度で、過去の自分が迫ってきて、怖れの妄想に憑りつかれるという恐怖体験も経験します。
自分を偽らずに生きる決意をしたものの、それは、とても怖いことでもあり、
常に、自らの内側にある怖れの幻が、事あるごとに迫ってきて、苦しめるのでしたね。
そこで、11度では、全ての状況を、意志の力で、管理コントロールしようとした過程に入ります。
それは、母親が息子を愛するがあまり、執着から逃れることができず、子供の一字一句を管理しようとしてしまう様相として例えられたのだと思います。
こうして、全ての状況を管理しようとする在り方は、12度で、自然界の法則を学ぶことで、その法則を己の願望実現と目標達成のために生かそうと試みるのです。
こうして、法則の一部を使う知識と体験を手に入れた人物は、非常に強い力を持つに至ります。
この俗世の、物質世界のあらゆる領域において、力を持ち、
俗社会の中での、物質的な階級付けの、トップに君臨するようになるのです。
13度では、このように意識的に生きる人は、リーダーとなり、カリスマとなり、
無意識な愚民を牛耳る手腕を持つようになる、ということが描かれているのでした。
こうして、意志の力によって、自らの掲げた目標を達成し、この社会において、力とパワーを持つに至った人物が次に求めるものはなんでしょうか。
歴史からいろいろ学ぶことが出来ると思いますが、
自らの存在を永遠のものにしたい。
こういう願望が出てくるようです。
不老不死とか、天界に行ってからも極楽に行くために宗教に金を積んだりするのはよく聞くことです。
また、自らの存在を、血縁に受け継ぐくことで、永代に渡って、名誉を途切れさせないようにする、というのも、歴史の至るところに見られることです。
例えば、徳川幕府も、家康から始まり、15代の将軍たちは、血縁によって
お世継ぎが受け継がれていきました。
実の子である場合もあれば、そうでない場合もあるようですが、
徳川幕府の例などみても、お世継ぎ争いで、荒れに荒れる大奥の争いとか、
お世継ぎ争いの為に、毒殺された王子も沢山いたようです。
こう考えると、そういった体制が嫌で抜け出して来たのに、ここでまた同じような
物質的ヒエラレルキーの体制を作ろうとしているようにも、見えます。
この度数では、血筋を通して自らがここまでで手中にしてきた偉業や権力を、
末代まで引き継ぐことで、選ばれし、血族を拡大していくことを物語っているのです。
一つ、例をあげてみたいと思います。
世界三大財閥と言えば、アメリカのロックフェラー家、モルガン家、そして、ヨーロッパはユダヤ人のロスチャイルド家ですね。
ロスチャイルドの創始者のマイヤーは、最初は迫害の身で、細々と古銭商をしていましたが、五男五女に恵まれ、この5人の男の子たちに、幼い頃から、帝王学を叩き込み、家庭教師をつけて、5カ国語を習わせ、そして、子供たちが成人すると、それぞれを、フランクフルト、ウィーン、ロンドン、ナポリ、パリに、行かせて、ビジネスをやらせます。5本の矢とも言われ、ロスチャイルドの紋章にもなっているのですが、5人の子供に徹底して、お金と、外国語とビジネスの知識を叩き込み、
ヨーロッパじゅうで、ビジネスをさせる、そのマイヤーの強すぎる意志とは、どこから湧き出たものでしょうか。
ロスチャイルド家は、最初、銀行業で成功し、その後、鉄道業、ワイン等で、更に大々的に成功していき、世界的な財閥となっていきます。
ちょっと話は逸れますが、ユダヤ人は、世界の中で成功者や、偉業を成し遂げる人の数がダントツに多いことで知られています。
世界の全人口に対して、ユダヤ人の数は、0.25%しかいないのに、ノーベル賞受賞者の20%をユダヤ人が占めています。
長者番付で常に上位を占めているのも、ユダヤ人です。
アインシュタインも、ビル・ゲイツも、ユダヤ人ですね。
ユダヤ人の子供たちの教育にはユダヤ教のタルムード(聖典)の教育があります。
タルムードは、他の宗教聖典に比べて、現実世界における成功や目標実現のための知恵が豊富で、お金のことも良く教えられています。
学ぶことの大切さや、時間当たりの生産性を考えることなど、2000年も昔の書物とは思えないようなところが沢山あるのだそうで、こうしたタルムードの教育を
ユダヤ人の子供たちは幼い頃から受けているのです。
迫害の歴史を持ち、困難を乗り越えてきた民族だからこそ、成し得た、聖典であり、教えなのではないでしょうか。
乙女座14度のこの度数で語られていることは、乙女座の前半のテーマである、
物質的な階級付けにおける個の確立。
において、絶対的な位置づけを確固たるものにする。
それが、血族による繫栄であり、家系図に裏付けされるものなのです。
真の意味での個の確立は、この後の乙女座後半で、挑んでいくテーマなのですが、前半においては、陰陽の一方向だけの、力が働きますので、
全体性はまだありません。
個の確立が、その部分的な意味合いである、物質的な階級付けの頂点。というところで、物語の完成を見ることになります。