海岸の群衆
A crowd upon the beach.
サビアンにおける21度の度数は、ここから5度ずつ割ったグループ分けにおいては、第5グループが始まります。
また、9で割ったグループ分けでは、3を土台に置いた3になります。
21は奇数で、3と7を内包しますので、こうしたことからも、21は非常に活力が高く、テンションが高い数字のエネルギーがあることが分かります。
第5グループは、第4グループで反対側の極性の性質を受け入れ、いったん大きく挫折を経験し、そこから、極性の性質を受け入れ、統合的な存在になって、
成熟してきたサインの性質が、ここまでですでに出来上がっています。
こうした、成熟した統合的な資質をもってして、そのサインの性質を全うしきる、
表現しきるのが、第5グループの流れになります。
ですから、15度までの前半の、若々しいストレートな活動性や成長力とはまた違う、円熟さをもった、酸いも甘いもかみ分けたうえでの、跳躍。といったかたちが、
第5グループで発揮されるのです。
21度は、第5グループの始まりの度数ですから、非常に高い活動性を持ち、
押しの強さ、テンションの高さをもってして、思いっきりジャンプするのです。
16~20度までの第4グループでの大きな挫折が21度でジャンプするための、
力強い、しっかりとしたジャンプ台となって、働いているのです。
人は、大きく飛躍するとき、その前段階として、必ずといっていいほど、
大きな挫折の経験、死ぬほどの苦しみの経験をするとされています。
この死ぬほどの苦しみ、挫折を歯を食いしばって乗り越えたもののみが、
そのあと、大きな跳躍をすることが出来、飛躍していくことが出来るのです。
サビアンにおける21度とは、大きな苦しみと挫折を乗り越えたからこそできる、
最も高いジャンプであり、飛翔なのです。
天秤座21度は、海岸の群衆、という度数になっています。
20度までの第4グループまでで、自分とは全く違う性質の人たちを受け入れ、コミュニケーションする過程がありました。
他者を思いやり、相手のニーズを汲み、周囲のバイブスを読む。そうやって生きるのが当たり前であり、そうした世界観でのみ生きてきた天秤座が、
周りは関係ない、相手がどう思うかより、自分がどう思うかが大事だ!というような
牡羊座的な、真逆な性質の人と出会い、関係していくことで、
天秤座自身が、自分自身の深い資質に目覚め、元来の創造的な天秤座の性質に、火がともっていく過程がありました。
牡羊座的な資質を内包してこそ自分自身を貫き、自分自身を生きるために、
世界や他者とうまく関わっていくスキルが真に生きるのです。
世界の仕組みを知ることや、対人関係スキルは、相手のためにあるわけではなく、自分自身のためにあり、自分自身の資質を生きるために、世界や相手と、
うまく関わっていく必要があるのです。
こうした、本来の構造をしっかりと認識し、思い出したのが第4グループだったと思います。
こうして、あらゆる人と、うまく関わり、どんなタイプの人も取り扱うことが出来るようになった天秤座は、
21度の海岸の群衆のこの度数では、多くの人たちと、活発に関わっている様子が描かれています。
シンボルの象徴としては、海、は、集合無意識や感情を表します。
海岸にたくさんの人が集まっているこの度数のキーワードでは、たくさんの人、そして、群衆の集合無意識を表しています。
ここまでで、ありとあらゆるタイプの人と関り、どんな人ともうまく付き合うスキルを獲得し、どんな人が相手であっても、自分が犠牲になることなく、相手の機嫌を損ねるでもなく、自分にとっても相手にとっても、ウィンウィンの良好な関係を築くことが出来るほどの、上級対人関係スキルを持っている、天秤座は
この度数では、より多くの人と関り、たくさんの人の中で生き、その人たちの集合無意識、集団の意識を読むことが出来るまでになっています。
古典占星術では、天秤座15度から、蠍座15度までは、バイアコンバスタゾーン(蛇の道)であり、乙女座から、蠍座までの3サインを、私はよく、人いきれ領域。と言っているのですが、その人いきれ領域、の中でも、天秤座15度から、蠍座15度までというのは、更に究極的に、他者と関り、たくさんの人の中で揉まれるサイン領域なのだと思います。
ここでは、常に人と関り、交わり、関係し、要請し要請され、しがらみあっていく領域なのだと感じます。
人間関係対応最上スキルを身に着けた天秤座21度は、集団無意識の象徴である、海に、無数に人々が集まる世界に、象徴されています。
天秤座の中で最も、ハイテンションの度数の一つである、21度は、天秤座の成熟した性質を思いっきり跳躍する度数です。
ここでは、集団の無意識を取り扱い、その集団に対して、働きかける資質が出来てきているのだと思います。
個人のネイタルチャートでも、乙女座から蠍座までの人いきれ領域に、惑星や感受点が多い人は、常に人に囲まれ、人の中で揉まれ、たくさんの人が集まってくる人生になりやすいのですが、特にこの天秤座や蠍座に惑星が集まる人は、
芸能人や有名人に、多い配置です。
人の集合無意識に働きかけ、たくさんの熱烈なファンを持ち、そのファンたちの集団意識によって、仕事も生き方も支えられているのが、芸能人、というものだと思います。
本人が本当はどんな人かは永遠に分かる由もないし、そこは、ベールに隠されたままで、決して出してはいけないものなのだと思います。
それよりも、集団が彼をどのように認識し、彼に何を望み、集団をどれだけワクワクさせ、夢を見させてくれるか。が、ファン商売において最も大切なことです。
こうした領域に、惑星がたくさんある方は、それを無意識にやってのける、天性の才能を持つのです。
集団の動向を読み取り、自分に何を望んでいるのか、どうすれば、彼らを喜ばせることが出来るのかが分かってしまう才能があるのです。
もちろん、それは行き過ぎれば、自分自身の主体がどこにあるのか分からなくなってしまい、自分自身のアイデンティティが迷子になってしまうという弊害に繋がることも少なくありません。
しかし、彼らは、その試練と、苦しみを何度も何度も乗り越えて、やっぱり、集団と関り、集団を惹きつけようと生涯働く人たちのようにも見えます。
21度では、最も高い、対人感性能力を身に着けた人が、膨大な数の人を相手に、集団の無意識に対して、能動的に働きかけていく、天秤座の力強い挑戦が始まっている度数です。