自分の領土に近づく妖精たちの王
The king of the fairies approaching his domain.
サビアンにおける28度は、土台に3を置いた10の1の数字です。
ここで、ゴールを迎える場面と、ここから始まる、スタートの場面とが同時に訪れているのです。
ここまでの蠍座のストーリーでは、26度のキャンプをはるインディアンの度数では、自分の生き方を強い意志をもって、遂げてきた人が、今度は、27度で、その生き方で得た、確固たる感覚を、周りの人にも、情熱的に話して聞かせている場面です。
27度は、9のエネルギーを持ちますから、26度(8のエネルギー)で完成した蠍座の世界観に対して、新しい感性が流入してくる場面なのです。
ですが、まだ、27度では、蠍座のストーリーは終わっておらず、
自分の得た経験を、近しい人たちや、周りの人たちに、話して聞かせたいのです。
蠍座特有の、他者と深く関わりたい、影響を与えたい、与えられたいというセンスが、名残がまだまだ残っているのを感じさせる度数です。
それまでのしがらみを断ち切って、自らの知恵をもって自立して
生活を切り開いていこうとした26度を経てもなお、また、もといた古巣の仲間たちとか、世界に対して、自分の経験を話して聞かせて、彼らを変えたい、と思うのでしょう。
また、俺が新しい挑戦をするって言ったとき、おまえら鼻で笑って否定したよな。でもそらみたか、俺はこんなに成功したぜ。俺らしいやり方でやって正しかったんだぜ。って古巣の仲間に自慢したい。
これも、とても蠍座らしい。
新しい世界、新しい境地へと足を踏み入れたのなら元の古巣の仲間に、どう思われてようがどうでもいいことのように思いますが、
蠍座的センスとは、そういうことなのでしょう。
深く関わった人たちには、自分の成功や、自分の今の幸せを自慢して、認められたい、すごいと言ってもらいたい。
私たちってそういうところ、あるんじゃないでしょうか。
でも、それこそが、また面倒の始まりでもある・・ってことが多々ある気がします。
元々、自分がいた世界と、そして、勇気を出して挑戦したことで、足を踏み入れた新しい世界。それは別々の世界であり、挑戦してない自分がいた元の世界にいた人たちにとっては、新しい世界の景色は、とても刺激的です。
刺激的過ぎるのです。
あなたが、その新しい世界に足を踏み入れてそこで生きていくために、
人知れず、めちゃくちゃ努力したことも、寝ずに泣きながら行動し続けたことも、恐ろしくて不安で眠れない夜を何度も乗り越えてきたことも、
古い世界の人は何も知りませんから、
あなたの成功談、うまくいった話だけを聞いて、古巣の仲間はどう思うでしょうか。
「すごいな、羨ましい」
「あいつにできたんだから、俺にも出来るかもしれない」
「あいつばっかり、好き勝手やってうまくやりあがって」
「なんとかあいつに取り入って、俺にもおこぼれもらえないかな」
そんな風に思う古巣の仲間も多いのではないでしょうか。
こうなると、あなたの足を引っ張る人が出てきたり、
あなたの時間を奪って、あなたの努力して成し遂げた成功法則を
何の努力もなしに成し遂げようとする人、
なんかも出てくるかもしれません。
うまく行ってるとき、成功したときにだけ、その匂いを嗅ぎつけて寄ってくる人間は、要注意です。
そういった人たちは、あなたの人知れずの努力も知らずに、あなたのような成功を、一攫千金的に、一夜にして成せるものくらいの浅はかな気持ちであなたにすり寄ってくるかもしれません。
また、鼻からあなたを否定して、人を騙したり、悪いことして成功したんだろうと、成功者は悪。のように、決めつけてくる人も多いでしょう。
挑戦した人の、新しい世界は、挑戦しなかったときの古い世界の人間には、
総じて「刺激的過ぎるもの」です。
ですから、ご丁寧に古巣に戻って、自分の成功を吹聴して回らなくとも、風のうわさで聴くくらいでちょうどいいのかもしれません。
そうした面倒に巻き込まれるのも、あなたのまだまだ残る、蠍座的センス、
水のエネルギーがそうさせるのです。
「挑戦する自分を鼻で笑ったあいつらの鼻をあかしてやりたい」とか、
「成功した自分をすごいと認めてもらいたい」とか
そんな、古くてどうでもいい、虚栄心とか、認めてもらいたい願望が、そういう、面倒を生むのです。
蠍座28度は、自分の領土に近づく妖精たちの王となっています。
そろそろ、次のサインの射手座の火のエネルギーが、漂ってくるころですが、自分の領土とは、自らの魂の領域のことです。
その魂という、自分のホームにいよいよご帰還している場面がこの度数では描かれているのではないでしょうか。
一つ前の27度ではまだまだ、蠍座的センス、水のセンスが強かったので、
自分の成功体験を、周りに強く主張したかった。
でもそこで、またたくさんの、蠍座的水的、めんどくささを経験し、
自分の中にある蠍座的水的センスの名残りを、よくよく向き合わされることになった。
新しい世界に足を踏み入れたのにまた、自ら古巣の郷愁に引き寄せられてしまったことを、反省したのです。
そして、28度のこの度数では、いよいよ、魂(火のセンス)のホームに、帰還することを覚悟している。
これは、同時に、それまでしがらんでいた、古巣の世界とは完全に、
断ち切っていくことも意味しています。
もう、自らが作った、自分を絡めとる古巣の牢獄へは戻らないという、
覚悟がここでようやく出来上がるのです。
この境地にまで至れたのは、まさに蠍座の世界で経験してきた、
深い関り、世界とのしがらみ、を体験したことによる、究極的な感情体験があったからこそ、獲得できたものです。
いよいよ魂として生きていくフェーズです。