ハープを運ぶ天使 

An angel carrying a harp. 

サビアンにおける9度は、一つ前の8度のところで、それまでの流れがある種、ひとつ、手に触れられる形あるものとして、現実化する場面が訪れています。 

山羊座のここまでのストーリーは、6度からの第2グループに入って、 

仲間たちと、目標を掲げて、その目標へ一緒に向かう仲間たちのために、 

自分を犠牲にしても、結果を出すために、人柱になるような、 

働きかたをしてきました。 

チームを盛り上げて、士気を高めるためには、こうした犠牲を払わなくては 

ならないこともあるのですから。 

しかし、こうして、自分を犠牲にしても、目標達成のために、結果を出すために、頑張り続けて、今度はその限界を知ることができるようになったり、 

リスクや、困難な局面をたくさん経験すると言う、経験値も積んできました。 

そして、8度のところでは、自分の属する社会や、コミュニティ、チームに、完全に、適応し、その仕組みの中で生きることで、安住を得た場面が描かれていました。 

組織化され、ルール化された、大きなシステムの中で生きる時、 

あまり問題意識を持たずに、すでに、まかり通っているルールと仕組みの中で生きたほうが、楽だし、幸せだということがあるのだと思います。 

今の私たちの生きる、社会もそうですね、大きな国家や社会といった仕組みの中で生き、さらに、組織に雇われている人は、その組織のルールと、システムに自分の人生を預けて生きている人が、大部分で、これまでの社会では、それが最も、幸せで安定した生き方だったのも事実です。 

こうして、安心と安定、を手に入れた人は、少しの退屈さはあるかもしれませんが。カゴの中で、幸せそうに歌って暮らすことができたのです。 

そして、9度では、さらに、逆らうことや、抗うことをやめて、 

自然界のルールのままに、自分を迎合させて生きる、ある種、悟りの境地のようなところへと、入っていくのです。 

9度は、8度で、現実化し、形になったものが、解体に入り、精神的なものへと成熟していくことで、存在形態を変え、新しいステージへの移行準備をはじめます。 

山羊座9度は、ハープを運ぶ天使、というキーワードになっています。 

ハープという美しい音色を奏でる楽器と、天使が登場しています。 

これまで、果敢に、目標のために奮闘してきた世界観が描かれてきたこれまでの山羊座の世界観から、なんとも、穏やかでスピリチュアルなエネルギーを感じさせます。 

8度で、与えられた環境と、大きな仕組みに逆らわずに、生きることで、 

安住と安寧を得た人は、その与えられた小さなカゴの中で、宇宙を見出すのです。 

人は、能動的に、選択し、欲しいものを掴みに行き、戦いに勝ち、欲望に生きる幸せを得る人もいる一方、そうした激しさは望まず、 

与えられた環境の中で、少しの窮屈さと退屈さはあっても、穏やかで、安心して暮らすほうが幸せだと考える人は多いものです。 

そういう生き方をしていくうちに、到達する境地がこの9度の、 

度数なのかもしれません。 

8度は、大きな仕組みとか、ルールや、組織の中で、生きることを選びましたが、9度ではさらにそこからもっと大きなものに飲み込まれて、それに沿って生きることを、楽しんでいます。 

それは、自然界のルールとか、普遍的な宇宙の流れ、のようなものなのかもしれません。 

季節の移り変わりとか、生物が老いていくこととか、こうした普遍的なルールというものがあり、これに是が非でも逆らって生きることもできますが、 

9度では、こうした自然界の必然的な流れに逆らわずに、そのままに、ありのままに生きることの境地に到達しているのでしょう。 

春になれば、ウキウキと活動し、冬になれば冬眠し、無理しない、 

季節の循環と共に、また、宇宙のルールと共に生きることは、真に幸せなことだったりします。 

成功と、幸せは別のところにある、なんて言われたりしますが、 

社会的な成功とか、目標達成を望めば、この自然界のルールだとか肉体的な仕組みだとかにどうしても逆らってでもやり遂げなければならないことが多くなります。 

でも、ここでは、そういう激しさは求めていないのでしょう。 

あるがままに、ありのままに、季節が巡るように、地球が回るように、 

生きていく、そんな生き方なのだと思います。