軽快な夏服に身を包んだ妊婦 ~A woman in pastel colors carrying a heavy and valuable but veiled load. この度数をルディアは、上記のように訳しました。 直訳すると、女性が重くて価値のあるものを隠し持っている、といった形になりますが、それを、お腹に赤ん坊がいる妊婦、という風に訳したのです。 また、パステルカラーの服を着ている、というところも、重くて価値があるものを隠し持っているというなんだか、ただ事ではない雰囲気と、ミスマッチングしているように感じさせます。 この度数では、そうした風に、重要な出来事を背景に抱えながら、見た目はパステルカラーの服を着て、軽やかに軽快にふるまっている女性像が描かれています。 このセンテンスが表している物は何でしょうか? 牡羊座の第5グループは牡羊座の直感的でそれを、ダイレクトに行動に落とし込み、自身の野望とか欲しいものとか、理想を掴み取るといった牡羊座らしさが、 第4グループの挫折を経て、ここでいよいよ成熟した形での統合を見るグループです。 23度はどのサインでも、21度と23度の統合であり、ここである意味、そのサインの成熟した形でもマックステンションに到達します。 15度が、純粋で直線的に育ってきたそのサインのテンションのマックスだったのに対して、23度は、16度以降反対側のサインが流入してきて大きな挫折を経験した後、二元の統合を図り、成熟した形でのそのサインの性質を高めてきましたが、 そうした意味で、23度は総合的なそのサインの、実現とも言えるのだと思います。 21度の男性性的に戦って掴み取る欲望の世界と、 22度の意図して待つ、宇宙が差し出すものを完全に受け取り切る欲望の世界との二極性について、前の二つの度数では、学んできました。 この23度では、21度の男性性的なやり方と、22度の女性性的なやり方とを両方バランスよく使って、創造を行っていきます。 21度では、いわば力づくで他を蹴落としてでも欲しいものを掴むというやり方でしたので、ある意味、欲しい(と認識しているもの)ものを手に入れたらそれで、闘志は萎えてしまうかもしれません、どこか、手に入れること、その行為自体が目的のようにも見えるところがあります。 これに対して、22度は、宇宙の差し出すものに対して完全に受け身の状態でした。集中して意図することは出来ますが、やはりこれも運命に対して、受動的な在り方なのかもしれません。 23度では、その両方のやり方をバランスよく統合して使うことで、本来の牡羊座的な、創造性を発揮していく場面に到達します。 それは、パステルカラーを着た女性のように軽快で、楽し気で、明るい雰囲気に見えるのでしょう。 周りの人たちは彼女を見て、ただ、あけっぴろげに、欲しいものを得て、自分の欲望に忠実で、楽しそうに人生を送っているように見えるのかもしれません。 しかしこの度数をもう少し深く掘り下げてみましょう。 このパステルカラーの服を着て何の悩みもなさそうに見えるこの女性は、 ベールの下に、それはそれは重く価値のあるものを隠し持っていて、その重たいものを、常に運んでいる、と、サビアンでは言っています。 それは、きっとパステルカラーの洋服で隠されていなければ、非常に重々しく、 大変なものを背負っている背景があるのかもしれません。 子供を生み出す女性というのは、象徴的に、創造。そのものです。 この世界に、もう一人の人間を生み出す、それは女性にしかできないことで、だから、女性性は創造性だと言われる所以です。 ですので、この度数では、ここで本当の意味での創造が行われることを、想定していて、その背後には重い荷物がある、としているのです。 その重い荷物をここでは、腹の中の赤ん坊、としているのですが、 イメージしてみると、子供を抱えた母親というのは、自分のことよりも子供のことが優先になります。そして、その子供、という制限を生きることで、あらゆることに目覚め、悟っていきます。母親は、子供をお腹に宿した時から、一生、死ぬまで母親なのだと思います。そのくらいの一大事業が出産であり、子育てです。 制限は、一見辛いものだし、二元的な吉凶論で考えると、ネガティブな事象なのだと思いますが、この度数では、その「制限」こそが、創造の源である、と言っているのかもしれません。 腹に一物、とても重たいものを持っている。そのことが、この人に創造を行わせる。 肚の力、と書いて、胆力と言いますが、この肚の力のようなものが無いと私たちは結局何も成すことが出来ません。 それは肉体的な、胆力もそうですし、決定的な人生における意志力に繋がるような経験であったり、体験です。 それは、一見、ネガティブと見えるような制限として私たちの前に現れることが多いのです。 そして、重いものを背景に抱えている人ほど、その制限が重ければ重いほど、その人は、パステルカラーの服をまとうように、軽快で明かるげに見えるものなのだと思います。壮絶な制限を乗り越えてきた人ほど、何の悩みもないように見えるのかもしれませんし、無垢な子供のように見えるのかもしれません。 |