完全にカットされていない大きなダイアモンド
A large diamond not completely cut.
10度は、サビアンにおいて、5度区分ずつの第2グループにおいて、最後の度数です。
この度数をもって、第2グループが終了するわけですが、蟹座の第2グループでは、蟹座特有の、感情の世界を、まさに心で感じきり、深い感情や情動の世界を体験しました。
私たち人間や、動物が、もともと持っている本能的な情動や心の世界を、感じきり、共同して生きる事、集団に属すること、その集団性の中で意識を共にして生きるということについて、実体験を通して、深く感じきったのが第2グループの流れだったと思います。
一つ前の9度では、内なる潜在意識の奥深くにある、心の根底にある意識に手を伸ばし、到達しようとしていました。
それは、誰かと深く関わり、自分を犠牲にしても誰かを愛し、守りたい。
誰かと共に生き、相手の気持ちや、周りの想いを深く感じきることをしてきたからこそ、その過程を通して自分自身の一番奥深いところにある無意識の世界への
切符を手にしたのかもしれません。
私たちは、誰かと深く関わることで、集団に属することで、そして、誰かを深く愛することで、ベクトルが自分。ではなく、他者。に向いた時に初めて、本当の意味で自分自身と深く繋がることができるようになるのかもしれません。
この10度の度数では、完全にカットされていないダイアモンド。という風になっています。
ダイアモンドはカットされる前は、その本来の輝きにはまだ及びませんし、
それが、最も価値のある石だということも原石の状態では分からないものだと思います。
しかし、その石が、ダイアモンドであることには変わりありません。
内に珠玉の7色の輝きを秘めた高い価値のある石であることには変わりありません。
私たちは、自分の奥深くにある根底の無意識に手を触れ始めたとき、
そこのきっかけに、魂への扉を開くことになるのかもしれません。
感情の一番奥深くの無意識の扉は、月の扉です、といつもお話していますが、
この扉は普段、無意識になっていてなかなか在りかが分かりません。
しかし、この感情の扉は、魂へ、そして宇宙への架け橋となっているような場所が、私たちの心の中に、皆、誰しも持っているのだと思います。
その心の扉は、誰かと深く関わり、自分よりも誰かを深く愛し、誰かのことを想った時に、触れることが出来る扉なのかもしれません。
自分一人で生きていて、その扉に触れることは果たしてあるのでしょうか。
一つ前の9度で、そうした心の扉の在り処へ手を伸ばした人は、10度で、次第に本来の輝きを放ち始めるということなのでしょう。
その輝きとは、誰しもが一人一人持っている、魂の輝きなのだと思います。
しかし、それは完全にはまだカットされていません。
そもそも、完全にカットされる必要などないのかもしれません。
ダイアモンドは職人の手によって、精密にカットされたとき、珠玉の輝きを放つといいます。そうして七色の輝きを放ったダイアモンドが、価値あるものとして、
市場に出回り、高値で取引されることになります。
しかし、原石に近い状態のダイアモンドはその価値を、見出してもらうことは出来ません。
そこからイメージするに、ダイアモンドとは、誰かの手が入った、他からの作用が入った段階で、初めて、万人の人にその価値を認められるものとなる、ということなのかもしれません。
しかし、完全にカットされていなくても、元来の輝きを放っていなくとも
ダイアモンドであることには変わりありません。
ですから、私たちは、自分の中の心の扉に触れて、本来の自分自身というものに到達したときに、今度は、その己の価値。を、周囲に向けて光り、輝きを放ち、周りの人にその輝きを認めてもらう、という過程を取るのかもしれません。
しかし、それは、あまり蟹座的ではないようにも思います。
自らの珠玉の輝きで周囲を照らし、その完全なる光で、周りに威光を知らしめる。
それは蟹座というより、獅子座的な在り方だと感じます。
ですから、蟹座では、自らの価値に到達したとしても、その価値を、周りに知らしめる必要もないし、自分が特別であると、周りに豪語してしまっては、本来の蟹座的な共感力や優しさを失ってしまうように思います。
ですから、ここでは、あえて中途半端な原石のままでいい。
目も眩むような完璧な輝きを放っていなくてもいい。
それぞれが誰しも持っている、魂の輝きは、本来完全なものです。
しかし、それを、必ずしも、完全な輝きとして周囲に知らしめなくてもいい。
その方が、やっぱりまた、周りの人たちと優しく繋がれるのかもしれない。
ちょっと、おぼつかない、ちょっとダサさが残る、輝き方で、それぞれが、
自分自身の心と繋がってる状態、くらいの方が、周りと共感しあい、
暖かな関係を築けるのかもしれない。
周りと同じくらいの輝き方では物足りない、もっと自分だけが一番輝きたい、となってくると、それは、蟹座の共感の世界を離れてくるのではないでしょうか。
次の度数から、蟹座第3グループに入りますが、ここでは、ここまでで繋がった、
珠玉の自分自身の心。を、感じきり、更に「心の世界」を極めていくことになります。