年老いた男が、北東の大きな暗い空間を向いている
A very old man facing a vast dark space to the northeast.
サビアンにおける14度は、第3グループが次の度数で完結する一歩手前の度数です。14はタロットカードでは節制となりますが、ここでは、エネルギーの無駄漏れがない形で、とても整えられた形で、そのサインの性質が完結に向かう流れが見えてきます。
ここまでの、特に第3グループの11度から始まった蟹座前半のストーリーが、
この度数で、究極的な形で完成されていく様子が現れているのではないかと思います。
蟹座14度では、年老いた男が登場し、北東の暗い空間が出てきます。
そもそも蟹座は北を表すサインで、蟹座の星図では、この星座は4等星以下の星しかなく、とても暗い星座です。
肉眼では見つけづらく、古代の人たちは蟹座のこのあたりを、人の無意識や心の深くに繋がっている場所と、認識していたようです。
この暗い場所を通して、人間は宇宙と繋がる、、そのように考えられていたのかもしれません。
北東というのは、北の果てを表しており、地軸の傾き(23.4度)に関わっており、
この北の果ては、深層心理の深い所から宇宙に繋がる地点を表します。
その北の果ての暗闇を、オールドマン、年老いた賢者が見ている様子が
この度数では描かれています。
年老いた男は、賢者を示しており、多くの知恵を携えたものという印象を持ちます。
あらゆる心の体験を通して、究極的な感情を経験してきた人物像なのだと思います。
私たちは内側の直感に接触したとき、それは最初は、なんの根拠もない、
本当に母親の直感、のようなものなのだと思います。
それは、その人の中にある絶対的な真実なのですが、それを確証付けるエビデンスも、証拠も、何もないわけです。
しかし、外側にある証拠や確証よりも、その人の中にある究極的な直感というのは何物にも代えがたい真実だったりします。
私たちは、その自分だけが知っている直感を迷いながらもまっすぐに生きるとき、
次第に魂に接触するようになるのだと思います。
それは、とても孤独な作業だし、だれもその正しさを保証してくれるものではありません。
私たちはこうして、己の道を歩む時に、究極的に到達するのが、このオールドマンが見ているような景色なのではないかと思います。
蟹座は、共感や共同する意識を獲得するサインですが、この第3グループでは、
誰かのために自分を捨て去った結果、究極的な自分自身。というものが出てきた過程が描かれていました。
誰かを自分より愛したときに始めて接触し始める、自分自身の魂。
肉体を超えた自分自身、というものに出会うのです。
こうして、宇宙を繋がって生きる生き方が始まりますが、その肉体を超えた
目には見えない心と意識の世界を、歩み続けたものが最終的に到達する
境地というのがこの度数には描かれているのだと思います。
探求の末には、大いなる光の世界、花畑のような天国の世界、そんな世界が
待ち受けているのではないかと、探求者は思うのかもしれませんが、
そこは、虚無の暗闇で、何もない世界かもしれません。
それは到達するまでは恋焦がれるものなのだけれども、到達してみたら、
無。なのかもしれない。
しかし、それは、同時に、何もない世界であり、悲しみも苦しみも怖れも痛みもないのかもしれません。
だからやっぱりそれは、精神の極み、と言える世界なのかもしれません。
この地上に生きながらにして、
その究極的な境地に出会って始めて、私たちは、今ある五感の世界、
感情が行き交う世界に立ち返り、真の意味で楽しむことができるのかもしれません。
あれだけ、煩わしく思った肉体の世界、感情の世界を、この北東の闇に到達してみて始めて、煌めく一瞬として、楽しむことができるのかもしれない。