歯科の仕事
Dental work
サビアンにおける9度は、8度までに一つ、形骸化したものを、今度は、実際的に使えるものにしていくために、心の濾過器に通して、変容させているような場面です。
例えて言うならば、実際に使うための機械や工具の、材料は出来上がった。
でも、材料だけでは、実際に使うことはできませんから、ここで、
その材料を組み立てて形にするための設計図を立てたり、
どのようにして、商品化していくのかといったデザインを考えたり、
使い勝手の良さを検討したりしていくと思います。
8度までは、シンプルな原型が出来上がったという風に、考えると、
9度ではそれを仕えるものにしていくために更なる考察を練るといった感じでしょうか。
蠍座6~8度までの過程は、誰かや何かという対象との関りから、強い感情体験を経験し、大きく立ちはだかった壁を是が非でも突破するために、
感情のパワーを使えるように、無意識の深い海に潜り、自分自身の限界へチャレンジしていきます。
深い深い無意識の海底に潜ったことで、心身はボロボロに傷ついたかもしれないし、人生も崩壊寸前にまで追い込まれたかもしれない。
しかし、私たちはそこまでしても、守りたい者があったり、愛する気持ちがあったり、成し遂げたい結果があったりするとき、無意識の作用を現実創造のために、壁を突破するために、使うことが出来るようになるのです。
これは、思考の力だけとか、ロジックや、計算の頭だけでは到底、成せるものではありません。
強い感情のエネルギー。これは、私たちが肉体を持ち、この地球に存在し、
想いを形にしていくときに、絶対的に必要な創造のためのろ過機になるのです。
そして、この感情のパワーを使えるようになるためには、
誰かと深く愛し合い、自分すらも気づいていなかった自分の本質に出会っていくとき、また、誰かと深く関わることで、憎しみを知り、強烈な怒りや、悲しみや、恨みを知り、世の中を知り、生きるということを知り、その過程で、深い感情体験をすることで、大きな壁を突破するだけの、心の力を持つようになります。
こうして、一つ前の8度の、湖面を横切って輝く月のところでは、
深く対象に潜り、集中し尽くしたことで、今度は、その集中状態を意図しなくても、必要な回答が内側から得られるようになります。
また、対象に対して、客観的な目を持つに至り、是が非でも獲得したかったスキルを、すでにもう執着の無い状態で、当たり前のように手に入れている状態も、8度では描かれているのだと思います。
目標や野望を達成するために、ある一つのスキルや専門技術が絶対に必要で、是が非でもこのスキルを手に入れたい、と、がむしゃらになっているときは、四六時中、寝食忘れて何年もそのスキルの勉強や練習に没頭するものだと思います。
そのスキルが、欲しくてほしくてたまらない、是が非でもこのスキルを習得して専門家にまでなりたい、こう執着している状態のときは、それだけ四六時中やっても、やっても、なかなか全体像は見えてこないし、自分のものにならなかったりしますよね。
かといって、やらなければ、それは永遠に、手中にすることはできない。
だから、ほかのすべてを棄て去っても、一つの対象に一点集中していく時間がある一定数必要になったりします。
それは自分に深く潜る作業でもあり、深海潜水夫のように、自らの危険を冒してでも、チャレンジしていく世界なのだと思います。
こうして、8度まででは、対象に深く集中したことで、
欲しかったスキルを手に入れ、無意識の作用である心の力を活用して現実を突破できるまでになっていました。
そして、9度の歯科の仕事のこの度数では、歯科という専門家がまず登場するわけですから、何らかの専門スキルを獲得し、それをもって仕事をしている様子が描かれているのです。
また、歯科という仕事を考えてみますと、人間の歴史において、医療の歴史は長いものですが、歯科の歴史というのはそう古いものではないのではないかと思います。
医療は、古代の人が、星や惑星の位置から、薬(植物)を選んだり、
まじないや、魔術で病気を治そうとした時代も含めると相当長い歴史があります。
しかし、西洋医学が出来てきて、外科的な治療が行われるようになったのは、まだ歴史が浅く、数百年といったところではないでしょうか。
私たちの体は、本来、外科的な治療を行わなくても、自然治癒力や、免疫力があり、また植物などの力を借りて、自然と病気を治癒できるようにできているのだと思います。
しかし、現代の外科治療がなくしてはどうしても直せない疾患もまたあるのも事実でしょう。
今までの古い時代の人類は、外科的な治療で治すことが出来る病であったとしても、その技術がなかった時代は、命を終わらせるしかなかったのです。
自然のままに生き、自然のままに死んでいく、そういった生命の歴史をずっと繰り返してきました。
しかし、私たちは愛する人を、亡くしてしまったとき、あまりの苦しみと悲しみに、悶絶します。
そして、何故、死んでしまったのか、愛する人を助けることはできなかったのか、助けたい、愛する人を助けたい、この強い想いの一心で、医療というものは発展してきたのではないでしょうか。
ほんの数百年前の、人類において、病気の人の腹を掻っ捌いて、手術をするとか、脳みそを掻っ捌いて、治療をするなどということは、考えられないし、魔術か魔法以外のなにものでもなかったのです。
しかし、私たちは、愛するものを守りたい、自然の作用に逆らいたい、
変えられない現実を変えて見せる。この強い想いが、医療技術の発展や、化学の発展を促してきたのではないでしょうか。
この現実を是が非でも変えてやる、といって感情の強いパワーを原動力に夢を見る側から、夢の世界の住人になる、といった過程は、6度のゴールドラッシュで見てきたとおりです。
歯科の治療もまた、外科治療と同じように、自然の状態であれば、虫歯というものは治るものではないでしょうから、何かしらの人工的な手を加えることで、虫歯になった歯を長持ちさせたり、腐ったところを取り除いて、歯を使える状態に回復させます。
こうしたことは、古い時代ではできなかったことでしょうが、
現代の治療では可能になっています。
これから、もしかしたら、歯を再生させたり、といった治療法も確立されるかもしれません。
それは、ひとえに、専門知識を持つ研究者の方たちの、研究の積み重ねによって成しえることなのだと思います。
私たちは誰しも、自然のままにしておけば、自然と生き、自然と死んでいく、そういう作用の中にあります。
しかし、その自然のままに螺旋を描くように朽ちていく、斜陽していく、崩壊していくものを、そのままにせず、なんとか、回復させたり、再生したり、
長持ちさせたりといったことを、するのではないでしょうか。
この度数では、専門的なスキルを手に入れた人が描かれています。
そもそも、何らかの分野の専門家になる、ということは、相当に強い感情のパワーがないとできないことです。
そのスキルを磨くために何年も、何十年も、一心不乱に鍛錬してきているのです。その過程では、スキルを磨くために、ほかのことをたくさん諦めてきたかもしれません。
友達とランチすることも、家族と旅行に行くことも、オシャレやお酒を楽しむことも、全部諦めてでも、その技術を磨くことに集中する。
ある一定期間、それをやった人でないと、何らかのプロフェッショナルになどなれません。
そこまでさせる、強い感情のパワーがあったということなのです。
強い感情のパワーは、愛するものを守りたいという想いや、
これだけは絶対に嫌だ、こうはなりたくない、絶対に負けたくない、
恨みや怒りのパワーであることもあるでしょう、とにかく、
なんにせよ、強い強い感情のパワーを体験したからこそ、
そこまで一心不乱に集中するだけの心の力を保てたのです。
こうして、9度では、専門家になった者が、実際に、「変えられないものを変えていく」
自然のままにしておくと、腐って朽ちていく虫歯を、治療し、また何十年も持つ歯にしているこの過程は、まさに変えられない壁を突破している場面なのです。